マダムゴールドデュオ













ウニタ:このスタイルを考え出すに至った思考の流れをご説明ください。

小林:私が考えたものではないんです。メンバーの鈴木規純という元主宰が考え出したものです。

鈴木:いわゆる風俗ののぞき部屋って、自分だけに踊り子さんが向かってきますよね? こっちは他のことを気にしないで集中して見れる。この贅沢感と、臨場感っていうか、一体感ですよね。お互い目的が一致して、責任を持って果たしあうというスタイルが、演劇でやれないかなと。もう一点が、遊園地とかにある3Dシアターみたいなもの、昔でいうディズニーランドのキャプテンEOみたいな。あれは、目の前に悪魔とかが近づいてきて、マイケル・ジャクソンも踊りながら近づいて、目があったりする。アレはすごいなと。それを表現するのは、やっぱり舞台上では不可能だし。で、こういう形になった。

ウニタ:今日は一分もののネタ?

鈴木:そうです。『踊る大走査線』はもともと一分以内に収まってるんんですけど、あとの二つは大体3分くらい。

ウニタ:レパートリーは何本くらいあるんですか?

小林:25本くらいはあります。

ウニタ:僕は前、原宿でこれ拝見させてもらったことあるんですけど、今日みたいに移動可能なんですかね。

小林:なるべく多くの人の目にふれる所にこれを置いていきたいなと考えていて、劇場というよりは路上で展開していきたいなと。

ウニタ:仮にこの審査に残った場合は、このスフィアメックスという空間をどういう風に利用されるんでしょうか?

小林:のぞき部屋テーマパークということで、テーマパークを作りたいなと。6つか7つコンセプトの違うのぞき部屋を配置して。サイズも今日みたいに大きいのもあるんですけども、ほんとに人一人しか入れないようなものも今やってるんで、そういったものをミックスしながら、一日中いても楽しめるくらいのことができたらと考えています。

ウニタ:以前は鈴木さん主宰だったのが、今は小林さんに代わってしまったのは?

鈴木:こういう新しい試みなので、ゼロからの出発ということで。普通の公演をしている時代は僕がやってたんですけど、今、前のメンバーが僕しかいなくて。新しい試みで、三人でやってたんです。特にリーダーっていうのは作らないようにしていたんですが、まとまらないから、やっぱり一番統制力があるということで、小林さんに。

小林:いや、別に主宰じゃなくて、三人の代表であるというだけで。

ウニタ:小林タクシーさんっていうんですよね。これは吉田戦車とかそういう乗り物と名前をあわせてる?

小林:いや、小林たかしっていうんですけど、本名が。今、小林たかしさんっていう人が『新撰組』とか出てる役者さんでいて。昔ロビーコールで「小林たかしさん呼んで」っていう子がいて、出てったら「ええっ!」という顔をされたという経験がありまして。なるべくインパクトのある名前にしたいなと。

坂口:これは一箇所からしか見られないんですか? なんか覗き部屋って色々なところから見られるのがあるじゃないですか?

小林:一箇所にしたいと思ってます。一人の人のためだけにやるっていうのがコンセプトなので。その一点に絞ることによって、すごく計算された絵を見せることができるなと思って。だから、生で見る映画みたいな事を考えていて、今のところは増やしていくっていう予定はないですね。

天野:ずっとこのコンセプトでやっていくという、内容のアイデアで見せていくという形で、これからずっとやっていきたいということですか?

小林:毎回模索はしているんですね。覗き穴の位置を変えてみたり。すごく下の方にしてみて、基本足しか見えないような状況でやってみたりとか、やってるんですけど。やっぱり、この集中っていうのすごく大事なことだなと思って。

天野:坂口さんが言われたように、穴をどんどん増やしていって、一つのことをやってるんだけど、つまり角度によって全然違うように見えるというだまし絵的なことをやったりっていう、そういう方向にはいかないんですね。つまり視点というものを位置ではなく、量でも色々考える要素とかアイデアの向きってあると思うんですよね。一つの視点においての集中ということにに拘泥するということですね。

小林:しばらくはこだわっていきたいなと思ってます。

:もし審査に通って、本公演でやるという時に、このスフィアメックス内にいくつかの部屋を設けて、並行して同時多発的にいろんなところでいろいろやってるというプランだと思うんですが。これはお客さんが来たら、ずっと役者さんは演じ続けている状況なんですか?

小林:いっぺんそのような状況でやった事があるんですよ。部屋数は四部屋なんですけど。まあ、二時間か一時間に一度くらい10分休憩をはさめば、割と肉体的にはいけるんだなということが。どうしてもきついっていう時には代役も考えますし。そこは柔軟にやっていきたいと思っています。

伊藤:例えば劇場じゃなくて、外とかにおいて、いろんな人に見てもらった、その先はどんなものをめざしてるんですか? なんか自分たちのテーマパークを作るとか?

小林:本当に夢みたいな話なんですけれども、例えば東京ジョイポリスに常設展示があって、アトラクションの一つとして見ることができるようなものを。遊園地で、常に演劇を見ることができるなんていうことができたら、凄いなっていうか。

伊藤:そういう所に演劇みたいなものを入れていきたい、というような。

小林:そうですね。なるべく多くの人に見てもらいたいっていうのが基本なんですけど。