スロウライダー













山中:スロウライダー、作と演出をやってます山中と申します。よろしくお願いします。主宰の三好です。今回プレゼンテーションは、二回目の公演『オナモミ』という作品。大体1時間半以上あるんですが、それを10分で短くやった。前半のシーンが、始まってから10分くらい、後半のシーンていうのが始まってから一時間半くらいたったらああいう風になっているというようなことです。まあ、その間に色々あるんですけど。で、もともとは釣堀を舞台に作ってやったんですけど、今回素舞台だったので、海の家という風に場所を変えてやった。舞台がこういう感じなんで、もし選んでいただけたら、今回舞台が作れなかったんで、亜熱帯のちゃんとした草原を作ってやってみたいという風に思います。

:すいません。今のプレゼンの後の場面の最後の方がちょっと台詞が聞き取りづらくて、どういう設定でどういうドラマになっているのかが分からなかったんだけど?

山中:お父さんが引きこもりみたいにずっと二階にいるんだけど、生きてるかどうか分からない。実際は死んでるんですけど。落語のテープが毎日夜6時になると流れ出す。死んでるかどうか分からないんだけれど、それを確かめようとはしていない。だから、全員、その事にはふれない。その落語を、息子が聴いて覚えて自分でやってた。で、その落語は、普通落語っていうのは楽しいこととか、笑わせることを想定してやるんだけれど、それを痛いとか憎いとかを想像してやればやるほど面白い落語だった。それを、人を笑わせようと思って、痛みだとかを想像しているうちに、もっともっと笑いが欲しいって、そのうちにああいう風にしてエスカレートしていった。で、高梨っていう人も、それと同じような感じで同じ話を始めちゃった。それを今度は高梨が、息子を見ながらやってる。で、そういう風な状況になって、最後、お父さんのことを想像して、すごく仲が悪かったんですけど、一番憎かったお父さんのことを想像して、一番面白い落語をしようとする。……というような流れです。

:他の作品だと例えばUFO見えるとかいう話があったり、毎回そういうオカルト系、電波系の題材でやってらっしゃるんですか?

山中:一応ホラーという風に銘打ってますので、やってますね。ただ、どういう風にして作品を作っていくかというと、例えばこの『オナモミ』だったら、ドラキュラとかっていうのがホラーでありますけど、それの一種テストみたいなものを意識した作品だったりする。それを現代的に解釈して『オナモミ』というのがあって。例えばフランケンシュタインっていう話だったら、女の人を介さないで自分のコピーをもう一個作るっていう話なんですけど、それは『アダムスキー』で、ある民俗学者の弟子たちが、先生がいろんなコピーを弟子たちで作ろうとしたんだけれど、その先生が死んだ後に、その先生はこういう人だった、ああいう人だったっていう、自伝を書こうとする。で、先生はああいう人じゃない、こういう人じゃないってもめていく。その過程が、フランケンシュタインみたいにつぎはぎで、もういっこコピーみたいのを作るという話で書いたりしてます。

:スタイルとしては、いろんなキャラクターが出てきて、それぞれの立場とか性格とか人間性があって、それが交錯していく群像劇ですかね。

山中:そうですね。そういった感じです。

天野:すごく細部にこだわっていられる作り方だと思うんですけど、先ほど『オナモミ』の、二階からお父さんが聞いている落語っていう、重要な、多分、円生じゃないですか? 落語の内容がすごく重要な、キーになってるのか。それとも、ただ落語としてのある音声として使っているのか、どちらなんですか?

山中:この場合は、話の内容自体、幇助として使ってます。はい。