男肉 du Soleil
黒いスーツの男たちが踊っている。その中でベルベット地のトレーニングウエアを着ている一人の男。彼の名前は「J」といい、いじめられている。やがて白いフワフワしたフンドシを締めた男が、Jを励まし、他の男子たちと打ち解け、やがて全員でシュプレヒコール。そしてダンス。
- 池浦
- 大阪から来ました、男肉 du Soleil(おにくどソレイユ)です。よろしくお願いします。
- 渡辺
- 主宰の方ですよね。私たちがビデオ審査させてもらった作品は、大駱駝艦のパロディのような、白塗りでした。いつも白塗りをやってるんじゃなくて、毎回何かのパロディなんですか?
- 池浦
- あれはとくにパロディが過ぎたんですけども。白塗りは、よく出てくる、ぐらいです。
- 渡辺
- 私は昭和30年生まれなんですけど、ずっとお若いですよね? だけど私とかが面白いと思っていた演劇のパロディが多い気がするんです。影響を受けた舞台とか好きなお芝居は?
- 池浦
- 大駱駝艦の『壺王(つぼのおおきみ)』、大阪在住の舞踏家・吾妻琳(あずまりん)さんなど。あと僕らが小学校の頃からやっているアニメ、ゲーム、すべてに影響を受けてると思います。もともと演劇を大学から始めて、大学でも主にダンスをやってたんです。ダンス公演を見にいこうってなったときに、舞踏に出会ってしまって、こうなってしまったっていう。
- 坂口
- 今日のシーンで、J君がいじめられてて、途中で仲良くなってふつうに踊り出しますよね。何かきっかけはあったんですかね。
- 池浦
- 一番奥のフンドシが歌ってるシーンです。彼がいわば創造主、神的な存在なので、あいつが「踊れ」といえば、そりゃあみんな仲良く踊ってしまう。そういう、底抜けのハッピーエンドを演じたかったんです。
- 渡辺
- 女性がいないんですが、入ってくれたらどんなことをやってほしいですか?
- 池浦
- やはり、いい角度からドロップキックを受けていただいたり。なんていうか……分け隔てたくないんですよね。うちに入れば男肉 du Soleilだ、っていうことで。学生のときに女性もいたんですけれども、どうも女学生の方々は肌を露出するのが嫌なようで。全裸で白塗りとかは、すべてNGをいただいて。公演中は楽しそうなんですけど、公演終わってから、どんどん嫌われていくっていう形です。
- 堤
- 舞踏に影響を受けたというわりには、舞踏的なスタイルじゃない、ドタバタの体を張ったパフォーマンスなんですが、それはどうして?
- 池浦
- シーンによるんですけれども。僕が正直、舞踏にひかれたのは思想うんぬんじゃなくて見た目だったんですね。見た目の奇形性がすごく刺激的で。今回は見た目の奇形性みたいなものは、作品中に出してないんですけれども。
- 堤
- あなた本人がパフォーマンスしなかったのが、とても残念でした。一次審査のビデオでは、白塗りしてフンドシしてあなたが出てて、みんながそこを評価したんです。あれが見れると思って、呼んだのですけどね(笑)。