ブラジル
ストレートプレイ。トランクス姿の男が、女性のハンドバッグをひったくろうとしている。バッグには彼の財布が入っているらしいが、彼が本当のことを言っているのかどうかは分からない。そこにカップルが通りがかり、女を気の毒に思って話を聞き、女の肩を持つ。やがて今度はトランクス男の友達も通りすがり、トランクス男を叱る。トランクス男はストーカー犯罪の前科者なのだった。トランクス男は、どこまでも不利な立場に追いやられていく。
- 山田
- はじめまして、主宰のブラジリィー・アン・山田でございます。
- 堤
- 作・演出をなさってるんですよね。役者さんは、小劇場にくわしい人はみなさんご存じの役者さんばっかり、手練が揃っていてさすがにうまいな、という印象なんだけれども。役者さんがエチュードでシーンを作っている要素は、どれぐらいあるんですか?
- 山田
- 今はほとんどありません。台本があるんですけど、現実を切り取ったようなリアルではなく、俳優さんが舞台でやるリアルな演技、素になる演技、というのを出そうとしている。できるだけ俳優さんの素の顔と、登場人物のフィクションの顔っていうのをリンクさせて、“エチュードっぽい演技”をできるようにお願いしてます。
- 渡辺
- これは今回のための新作? どれぐらい稽古なさった?
- 山田
- そうです。稽古自体は5回ですね。脚本も(1次通過が)決まってから書いたので。
- 坂口
- とても楽しく見せていただきました。パンフレットに書かれてる、「この劇場にふさわしい作品を書いた」っていうのは?
- 山田
- 普段だったら自転車で人を轢くとかできないので、自転車で人を轢きたいなあということと、ネギを思いっきり投げたいなとか……そのへんですね。
- 坂口
- あんま考えてないってことですね(笑)。