FUKAIPRODUCE 羽衣
暗転からスタート、メンバー9人が客席後方から出てきて、暗闇のなか、各々の台詞を客席内でしゃべる。観客は視界を奪われたまま、絶叫にも近い台詞が各所から響き渡る。しばらくした後、明転。出演者はステージでビニール傘を持って板付き。音楽とともにストーリーが始まり、ミュージカル的に歌い踊る。
- 深井
- FUKAIPRODUCE 羽衣の深井順子です、よろしくお願いします。
- 糸井
- 作・演出・音楽を担当しております、糸井幸之介と申します。よろしくお願いします。
- 渡辺
- これは審査のための新作ですか?
- 糸井
- 過去3本のお芝居のシーンを組み合わせて、ちょっとだけ台詞を付け足したりして、10分にまとめました。
- 渡辺
- 私たちが拝見したのは、白萩ホールでおやりになった公演ビデオなんですけど、いつも小さい劇場でやってらっしゃるんですか?
- 糸井
- そうですね。前回、今年3月こまばアゴラ劇場でやったのが、一番天井の高い劇場です。あと、新宿のゴールデン街劇場で3回ほどやってます。今日みたいな8割が歌と踊りってよりは、いつもはもう少し言葉をふつうにしゃべる割合が多いです。
- ウニタ
- ミュージカルというスタイルを取るようになったのは、どんな心理的な選択なんでしょうか。
- 糸井
- すごく昔から、お芝居の中に歌っていうのを入れてたんですけども。昔はもうちょっと話があって1曲入るというようなスタイルだったんですけど、役者が僕が書いた言葉を舞台上で言っていくってところが素敵になるかどうか、って勝負をはっきりさせていくために、今はストーリーの中に歌があるっていうのとは、ちょっと違ってきてて。ストーリーとか役柄っていうのは、だんだん少ない要素になってきています。例えば、ひと晩の街の様子を場面、場面で(見せるようなつくり)。役者もひとつの決まった役をやるんじゃなくて、誰かを中心にしたストーリーというのは、あまりなくて。全体で流れていく感じです。
- 堤
- ここ(吉祥寺シアター)の空間は大きいんですけど、もしここで二次審査に通ったときに「こう使ってやろう」とかいう、戦略やアイディアは?
- 糸井
- 自分でも狭い劇場でやるほうが得意というか、のびのびできると自覚しているので、やはりこのまま使うっていうのは不得手だと思います。だから、できるだけ狭いムードに持っていけるように。お客さんに近くなれるようには、絶対やらなければいけないと思っています。
- 河原
- ひとり明らかにおじさんがいますよね? 2時間これで、あの人、大丈夫なんですか?
- 深井
- 54歳の方で、最初は胃が悪かったんですけど、よくなったみたいです、最近は。お芝居をたまたま一緒にやったとき、すごく素敵な役者さんがいるなと思って、お誘いした流れです。2時間ずっと、テンションはこのままです。体にはけっこう来るんですけど、何度もやってると慣れてくるんですよ。