- 総評
- 冨士山アネット
- 東京デスロック
- 男肉 du Soleil
- 小指値
- company izuru
- CAVA
- ブラジル
- FUKAIPRODUCE 羽衣
- ユニット美人
- GiantGrammy
- クリウィムバアニー
- 最終3団体選出
11団体の10分間ずつのプレゼンテーションと質疑応答を経て、いよいよ審査員による議論が始まりました。出場団体、一般見学者が固唾を飲んで見守るなか、最終3団体はどこに決まるのでしょうか? まずは、全体の総評と各団体を振り返りました。 (進行:ガーディアン・ガーデン 菅沼)
総評
-出場団体のみなさん、審査員のみなさん、お疲れさまでした。まずは、全体の感想をうかがっていきたいと思います。
- 堤
- 今回は、例年の倍の応募があったんですね。このフェスティバルは、やっぱり期待度が高かったということをあらためて確認して。実際、応募されてきたものを見ると、私個人は迷いました。もちろん落ちた団体の中にも面白い、ユニークな表現があったので。ちょっとこれから熱いバトルが期待できるのではないかと思っています。
- ウニタ
- 約2年ぶりということで、吉祥寺シアターという素敵な会場で復活できたことが、まずひじょうにめでたいことです。演劇のみならず、パフォーマンスの方が今回多かったなと思いまして。それだけ表現が多様化してきたんですね。もともとこのフェスっていうのは、まっとうな演劇だけに絞られず、いろんなパフォーマンス、ダンスを評価してきたって部分もありますので、よいことだと思います。私自身も最近勉強不足のためか、今回出場されている劇団のほとんど、今日初めて見るとこばっかりという状況で、どのプレゼンテーションも新鮮に思えました。それぞれの個性的な表現の中で、ある程度の完成度に到達してたんじゃないかなと思います。今まで以上にみなさん、プレゼンテーション能力が高まったかな、という印象を受けました。
-ちょうど10年前、審査される側にいらっしゃった、今回初めて審査をお願いしました、河原さん。
- 河原
- もう10年になりますね。僕は当時のことあんまり覚えてないですけど、受かる前提で受けてたので(笑)。こうやってあらためて見ると、これは相当受かるの大変ですね。想像してたよりずっと面白かったです。僕はこれに出場したって経緯があるわけで、やっぱりみなさんと同じような畑から芝居を始めたんですけど。こういう演劇が一番面白いって、いまだに思ってるんですよね。昔はほっといてもいろんな団体が「あそこ面白い」「あれ見なきゃ」みたいなのがいっぱいあったんですけど、今はどっちかっていうと、商業ベースの演劇に完全に押されてるって感じで。情報誌も、まったく昔ほど扱わなくなってますしね。だから選ぶ基準としては、みなさんものすごくきちんと世界観を提示されてますが、ある種のスケール感を感じるものを、僕なりに選んでいこうと思います。あと、今思い出した。公開審査のときに、自分の劇団を悪く言った人がいるんですよ、審査員で。今でも覚えてるんですよね。(会場笑い)だから、今日は優しくします。
- 渡辺
- ほんとに面白かったです。ビデオ審査は、とても難しかったんです。2時間くらいの芝居をどう10分にまとめるかだから、演劇が損しちゃうんですね。今日は、みんながパワフルで、オリジナリティがあって、すごい小さいことにこだわったりする力とか。とにかくやみくもにやってるっていう若さが炸裂してるものもあり、まとまってるのもあり。ビデオ審査のときとはまったく違うものだったんですね。私の場合はライバルだと思って見させていただいたので、かなり真剣でした。
あと今回の審査で、私はもう減量するのをやめました。太った人が必ず出てくるんですよね(笑)、そうすると必ず目がいくし、ホッとするんですよ。そういうことを発見させてくれた審査会でしたね。
- 坂口
- もうみなさんがおっしゃったとおり、とっても楽しく見させていただきました。たぶんここでパフォーマンスされてる方も、ここで審査をされてるって感覚ではなくてね、自分の作品をつくりきる、みたいな、モノを作ることにこんなに真剣な人たちが11組、みなさんほんとうにそういう感じで見させていただきました。こそばゆい言い方で「元気をもらう」って言い方があって、とても嫌いな言い方ですけど、ちょっとそんな感じもしてしまいました。ありがとうございました。
冨士山アネット
-では出場順に、一つ一つについて議論していきたいと思います。まず冨士山アネットについて。
- 渡辺
- 面白かったですよね。言葉で痴話げんかを繰り返していて、でも奥では男女のエロティシズムを感じさせるような、言葉と心の裏腹な部分を映像で映した。すごくエッチな気持ちになりながら痴話げんかを聞いているっていう感覚になって。そのセンスはよかったと思います。
- 坂口
- たくさんイメージを持ってる方なんですね、それに一所懸命ついていこうとして、舞台上を見なきゃいけない楽しさと、ちょっと大変かなって部分が同居してるような感じを受けました。
- 堤
- 主宰の長谷川君は、以前は劇団α.C.m.e(アクメ)をやってた人なんですが、単に戯曲があってテキストがあって台詞があって、というストレートプレイではなくて、役者さんのフィジカルな次元の表現とか、またそれをカメラで捉えて映し出すとか。いろんな試みを彼はやりたくて、オーソドックスな演劇、いわゆるナラティブ(物語的)なストレートプレイでは表現できないような表現を、彼は目指している人なんだろうと、私は理解しています。そういう意味では期待値が高いなと思います。
- 河原
- いやいや、素晴らしかったです。ただ表現としての強度っていうか、もちろんアイディア自体は面白いんだけど。もっと、いけそうな気がしたんですよね、単純に。いつもは劇場中に4tの砂を撒いたりとか、そういうことを本来はしてる方たちだから……いや、ほぼ素舞台であれだけのことをやるって素晴らしい。
- ウニタ
- 何年か前に冨士山アネットさんは応募されたことがあると思うんですけど。そのときに比べるとやろうとしてる方向性が明確に出てきてはいると思うんです。頭がよくなったな、というのがあるのですが、逆にけなしようのない、優等生な頭のよさであるような気もして。そこはヘンな、歪んだものに引っかかる性質のある私にとっては、ちょっとできすぎてるかもという、奇妙な違和感を覚えました。
東京デスロック
-それでは続いて、東京デスロック。10分間笑い続けていただきましたけど。
- 渡辺
- やろうとしてるテーマはすごく分かる。私、舞台芸術学院の出身なんですけど、そこの役者の訓練法に似て感じちゃったのね。だから、ビデオの印象と全然違った。ビデオのときは宗教団体のような、一種独特の雰囲気があるんだけど、今日の場合は笑いで……。かつて何度も自分がやったことのあるワークショップに見えてしまったのが残念だったなと思いました。
- 堤
- この方法論は、実は本来は稽古場とかアトリエでやるような試みである、っていう批判のされ方はあるかもしれない。ただ、今回『ロミジュリ』という一つのベースを決めておいて、それにのっとって笑っていると。笑っている人たちも実は役についていて、場面も流れてる。ただ見ただけでは分かんないかもしれないけど、実際あの(エンドロールの)映像が出たときに、「あ、ロミジュリだったんだ」というところで、お客さんが読み込もうとする。まんまと騙されてしまうというか、引っ張り込まれるところがうまいと思う。
- 坂口
- 僕はね、挑戦的なスタイルを取ってるんだと思うんですけど、そこより全員が思ったよりセンスがよいというか。どんなことをされても、そのセンスのよさがあれば、僕はずっと見てみたいなと思いました。プレイヤーの方が話されてましたけど、あんまりシェイクスピアのこととか、主宰者が考えることをそんなに気にしないで自分のやることをこの場でやってるっていうのも、僕は好きなんで、気に入っちゃいました。
- 河原
- いや。実に素晴らしかったです。危険ですよね、あれを選ぶとなると。笑ってる人たちが、役はついてるんですけど、役になってないでしょ。そこってものすごく大きい気がするんです、それを演劇と取るか、取らないかで、見え方が全然違うだろうし。今日初めてお話を聞きましたけど、多田君ぐらい頭がいいと、なんでも後付けで言えちゃうと思うんですよね。「これはそうそう、狙いです」とか。そういうふうに見えちゃう部分もあって。……でも僕は、彼らのために、落としたほうがいいと思う。
-もう結論ですか!?
- 河原
- こういう表現をする、スリリングなことをやってるっていうのが。なんかねえ……自力で行ったほうがいいよ。逆にそう思うような表現。これ、褒めてますよ。
- ウニタ
- 本来、多田さんは賢いとは思うんですが、たぶんその内面的なアナーキーな、パンクな精神が、思い切ったものを作らせると思うんですよ。そこがもっとストレートに、暴力的に出てたら、すんなり評価しちゃうかもしんない。たしかにクレバーな部分が、最初の冨士山アネットと一緒なんですけど、演劇やる人がこんなに頭よくなっていいのかな? っていう。不満ではないんですけど。例えば2時間ただ笑ってるだけのものを、作り手はいろいろ説明もできるかもしれないけど、見る人にとってはただ笑ってるだけの2時間みたいな。そんなものが提出されたときに、それはそれなりにインパクトがあるような気がして。
男肉 du Soleil
-では、3番目の男肉 du Soleil(おにくドソレイユ)ですね。
- 渡辺
- これ、ほんとに(一次審査の)ビデオが大好きで、白塗りの太った人と痩せた人が後ろからワーッと来て、大駱駝艦のパロディで、お芝居までしちゃうっていう。だけど今日はちょっとおとなしかった。もったいないというか、残念だったなと思いました。
- 坂口
- 僕はJ君にすごくこだわってるんですけどね。J君がいじめられてて、そのあとみんなとちょっと仲良くなる。歌を歌った方が神様で、そのワンクッションがあるからそうなったっておっしゃったんですけど。歌のヘタさがもうひとつ生きてなかったというか。あのポイントが、何かもうひと工夫あるとよかった。いつもだったら、たぶんそこができてるんじゃないかなと思うんですけど。今回は見えなかったなと。
- 堤
- 主宰の方が出てこなかったのは、ほんとに私も残念で。「男」の「肉」と書いて、「おにく」。せっかく「男肉 du Soleil」と銘打っているのですから、やはり男の肉体を売りにすべきなのではないでしょうか。太った、贅肉のかなり付いた体を人前で晒すっていうのは、かなり自虐的な行為だと思うんですよ。でもそういうところに、実はある意味での色気というか、内面性の発露があったりする。「この人は、何をアピールしたいんだろう」とか、お客さんも見たがると思うんです。太っていることは、一般的にマイナスのように思われるかもしれないけれども、違った視点から見れば、贅肉のプルプル震えているようなシーンでも美しく思える瞬間があるはずで、そういう可能性のあるスペクタクルが見たいと思うんです。そのように固定観念を覆すことが、アートの意義でもあり、表現の力であると思う。そうしたセンスがちょっと感じられなかった。ほかの男の子たちも、かなり無茶なパフォーマンスをしていて、体を張って動き回ってるんだけれども、それも落としどころというか、客観的にどこに位置づけて、パフォーマンスの中で展開していくのかっていう視点が感じられなかった。
- ウニタ
- やはり、「男肉 du Soleil」という名前だけあって、本家のシルク・ド・ソレイユばりのスペクタクル、大駱駝艦並みのスペクタクルを、より目指して、それを見せてほしいなという気はします。そのためには、べつにダンスがうまくなる必要はないんですけれども、体をもっともっと突き抜けるぐらい激しく酷使して、その酷使した表現に肉体が追いつかないのであれば、追いつかない肉体をまた笑わせるという、見せ方はいろいろあると思う。
- 河原
- (自分も)似たようなことやってましたからね、全然嫌いじゃないですけど。でも、今日のに限っては惜しいなって感じですよね。集団としての魅力っていうんですか。雰囲気ってあるじゃないですか。そういうのを僕はすごく気になる。一枚岩じゃない感じがしたんですよね。ビデオで見るとね、ほんとに、こんなバカなことを一所懸命やってる人たち、っていうのが伝わってきたんですけど。(二次審査を)見ると、「こいつなんか疑ってるかもな」って感じが、ちょっとあるんです。伝わってこないんですよね。……ごめん! でもいろんなことができる集団だと思うので。もっともっとやって、また出会えたらいいなって。(会場笑い)
小指値
-4番目の小指値ですが。
- 渡辺
- 私はすごく好きでした。ビデオもセンスあるな、面白いなと思ったんですけど、小指値さんは生で見たほうが、より面白く、パワフルに感じました。ビデオだと台詞が聞き取れなかったんですね。はっきり、きちっとテーマを持っているし、詩的な台詞をいかにも自然に言ってるし。誰にもできないようなオリジナリティを感じた作品でした。
- 坂口
- 料理好きの彼に出会えたのが、とってもよかった。これ、ふざけて言ってるんじゃなくて。やっぱり、パフォーマンスでもお芝居でも、誰か自分が思ってるような人に、ひとりでも出会えたら最高じゃないですか。だから、本気で言ってます。それが審査の結果に、どうこうってことではないんですけど。
- 堤
- 実はこれまでに何回か拝見してまして。あり方としては集団創作のカンパニーだと思うんですね。ニブロールのような。本を書く人がいて、動きをつける人がいて、衣裳作る人がいて、照明器具を作る人がいるとか。ただ、いわば切磋琢磨というか揉まれ方が、まだちょっとユルいかなって印象がしました。そこを突っ込んで、内輪の中でぶつかってもらえると、それがお客さんにも伝わってくるんじゃないかな。例えば、前に置いたライト、影を見てると、映画の『マトリックス』を見てるみたいだったんですね。これは面白いなと。ああいうことを、ほかのメンバーも「この照明面白い!」って思ったら、そこをもっとフィーチャーして、それだけで5分もたせるとかシーンを作り込んじゃう。それぐらい面白いと思うことを個々のシーンで突き詰めていったら、もっとすごいことになる気がしています。
- ウニタ
- 強みになるところをクローズアップする戦略は必要かなと思います。とくに電飾装置を作るエンジニアがいるってことを、もっと活用して。ハードが前面に押し出された舞台が見てみたいですね。
company izuru
-5番目のcompany izuruは。
- 渡辺
- (一次審査の)ビデオの衣裳が好きだったんです。イギリス人のオーケストラがいて、羽根のある衣裳を着た能役者がいるっていう。ビジュアルのセンスが好きだったんですけど。今日は、この人のセンスの面白さがあんまり出てなかったんじゃないかと思って、もったいなかった。結城さんがどんな方なんだろう、とお会いするのが楽しみだったんですけど、あんなに饒舌な方なのでびっくりしましたね。自分の脳内にある遊びを具現化しようっていう意欲は、買うんですよ。だってそこがパフォーマンスのモトですからね。だけど、それを解説してしまう、饒舌に語ってしまう。じゃあそれを見せてくれっていうふうに、どうしても思ってしまうんですよね。
- 坂口
- 真面目さは感じられるんですけどね。ああいうスタイルでやると、真面目さや、やってることの正しさよりも、全体を覆うオーラみたいなものを感じたいんですね、僕にとっては。いろんな条件が整わなかったのかもしれないんですけど、そういう衝撃は、残念ながら今回ここでは伝わってこなかった。もっと整った条件ではどう見せていただけるかですけど、今日は、インパクトなかった感じでした。
- 河原
- やっぱり、どういう表現であれ、あんまり補足するべきじゃないと思うんですね、雄弁に。それに尽きます。もちろん教養であったり作品の知識って必要だと思うんだけど、例えばそういうのがない人間が見ても、舞台で行われていることの強度を伝えるべきだし、伝わったほうがいいと思うので。
- 堤
- 青木さんでしたか、今日拝見して、ちゃんと能役者として修行されているという印象を受けました。ただ、逆に考えると、それに拮抗するだけの演出力とか、コンセプチュアルワークをきちんと作ってあげないと、台無しになるかもしれない。ぶっちゃけた言い方をさせてもらうと、ここでお能のメソッドにのっとったパフォーマンスを見せてもらったときに、「あ、お能って面白いんだ」と再確認させてくれるようなものが見たかった。素朴に「そういう世界があるんだ」と新鮮に実感させてくれるものでもいいし、あるいは「日本人に生まれてよかった」と錯覚させてくれるようなものでもいい、そういうものが見たいなと思いました。
- ウニタ
- これがガーディアン・ガーデンじゃなくて、もっとアカデミックな審査会場だったら、またべつの批評が出ただろうなと。そういう気の毒な思いはあるんですけど、ただ、今日結城さんが雄弁におっしゃられたソツのない説明の中で、ベケットなり現代音楽と能と結びつけるっていうのを、結城さんは「誰も試みたことのない新しい実験である」とおっしゃられたんですが、何かわりと既視感のようなものがある。どうしても、こういうフェスのような、わりとインパクト勝負みたいなところだと、不利に働いちゃうのかなっていうのもあるんですよ。そういう場に対しても、何か面白みを付け加えて説明できるようなプレゼンテーションなり、演出なりがあってもよかったかな、と思いました。
CAVA
-6番目、CAVA(サバ)はいかがでしたか。
- 渡辺
- ビデオでは風刺の利いた、過激なパントマイムって印象だったんです。管理社会に斬り込んでいくような、風刺的な部分をパントマイムでやっている、一糸乱れぬ動きでやっている、その批判精神みたいなところが面白いと思ったんですけど、今日見たらソフトタッチになっていた。私は残念、もったいないなと思いました。
- 堤
- 私はCAVAは旗揚げ以来全部見てますが、技術は持っているし、見せ方も演技も、ほとんどできているんです。だから安心して見れる、楽しめる。そこから先は何を描くか、ということになると思う。えり子さんもおっしゃったけど、例えば不条理な社会風刺的なシチュエーションを描くとか、あるいはファンタジックな方向に振るとか。そのへんをもっと自覚的に、作品ごとに、ストーリーだったらストーリー、シチュエーションだったらシチュエーションを、もっと推敲していくと、もっと見応えが出るし、面白いレパートリーが作れるような気がしています。
- 河原
- ああいうことができたらいいなあと思いました。まったくケチのつけどころのない、表現として完成された域にあるようなもので、楽しい10分間でした。けどやっぱり、堤さんおっしゃられたように、あの先を。パントマイムで、ああいう表現をするのは新しいインパクトだったと思うんです。ただ、ここから選ぶって立場で見たときは、もうひとつ、「見たことがない」というか、着想であったり、切り口であったりを提示していかないと。できるような気がするんですよね、お三人見てたら。
ブラジル
-7番目、ブラジル。
- 渡辺
- ビデオで、太った役者さんが窓から落ちる作品を見たんですね。人間の負の部分を扱ってる集団なんだなって印象だったんですよ。残酷で、心理的に負の部分。だから暗めの印象だったんですけど、今日拝見したのはきちっと10分にまとまってる新作で、ソフトな、役者さんも達者だし、きちんと収まってるのを見ちゃった。ビデオだともっとクセがあるというか、ぐぐーっと臓物をえぐられるようなものを見せてもらえるのかな、という先入観で見てしまったので、すごく意外でした。
- 坂口
- いろんなパフォーマンスがある中で、オーソドックスなお芝居でリアリティあるように作れる、っていうところに感心して、楽しく見せていただきました。何回か公演も見せていただいてます。僕はちょっと気に入ったかな。
- 堤
- 最初はエチュード芝居かなと思っていたんです。さっき聞いたら、脚本は全部書いていると。シチュエーションがころころ変わる、その肌合いも、戯曲の上で描けていて、レベルが高いなと思いました。俳優とか、そこに出てくる人物のメンタリティも、ちゃんと考えて書いてある。そういう意味で平均点は行くんです。じゅうぶん役者さんも、いい演技派が揃ってますし、そこそこのところまで行けると思うんですよね、観客動員数もある程度期待できるかもしれない。ただ、そこから先を、劇団として、作家として、もうひと踏ん張り考えていただきたい。おそらく、ブラジリィー・アン・山田さん自身が今後、作家性をどのように出していくのかがポイントになるように思います。
- ウニタ
- 本日は1番目から6番目までが、いわゆるふつうの演劇とは違うパフォーマンス志向のものが並んだので、7番目にブラジルが出てきたときは、まっとうなドラマ性を持ったものにもかかわらず、ひじょうにインパクトがありました。実力がある役者たちという感じなので、魅せられたのですけど、僕も負のイメージを抱いていて、そこに期待していたので。じゃあブラジルってどういう劇団なのか、特徴は何なのか、っていうときに、それが見えなかったという感じがしました。
- 河原
- 評価はしてます、今日11組の中でいいなとは思います。最近の若い人たちって、以前に比べてみんな上手いんですよね、ワークショップで会う人なんかも、芝居ができる。物語を書くことができる若い人たちも、上手い人が多いんだけど、「……で?」って感じなんですよね。文句のつけようがない、ってこのフェスティバルではあんまりいい響きじゃないと思うんです。「文句つけたいんだけど、おもしれーなあ、くそー」っていうのに出会いたいと思うから。まあ、1年あるし、期待値も込めて、今ここまでできてるんだから、どうしたらいいか分かんないけど、もっと物語作る上でも、強靱な体力というか何かが欲しいなって思います。
FUKAIPRODUCE 羽衣
-8番目のFUKAIPRODUCE 羽衣
- 渡辺
- 一次審査のビデオがパワフルで、台詞もすごく面白くて、残酷で、男女の掛け合いとかが見事で。白萩ホールの公演だったんですけど、劇場が割れんばかりに、汗をかいて歌って踊って、ものすごく過激な芝居に見えたんですね。今回もったいないと思ったのは、絶叫してる台詞が審査員席からまったく聞こえなかったんです。はじめの演出は面白かったですよね、「電気を点けて」って、客席からひそひそ話も全部聞こえた。でも舞台に上がってから発した台詞は音にしか聞こえなかった。
- 坂口
- ミュージカルっぽさを楽しんでる雰囲気はとても伝わってきて、僕は楽しかったかな。傘が壊れちゃっても、しっかり動揺しないでやってる男の方も、好ましいですよね。主宰者のコメントかな、普段小さい劇場でやってるんですよね。劇場の大きさに合わせないで、自分のスタイルに合わせるっていうのも、ぜひそうしてもらいたいなって気はしています。自分たちのいいようにやればいいわけで。
- 堤
- 普段は小さい空間を手描きのペインティングでブワーッと埋めたりするんですよ。その空間の中であれをやられると、思わず引き込まれて、同調しちゃうんですよね。そういうお客さんとの一体感、どっぷり浸かって楽しむ世界を展開してる。さっきえり子さんが言われたけど、ふつうのミュージカルは歌詞とか台詞が聞き取れないと、乗っかっていけないわけですよね。だからスタイルが全然違いますよね。歌詞が聞き取れない、でも一所懸命やってる、それでどこまでお客さんを巻き込めるかがキーポイントになってくると思います。
- ウニタ
- 今、日本の小劇場でミュージカル専門劇団ていうのは、ロリータ男爵とかゴキブリコンビナートとか、数えるほどしかないので、羽衣にもがんばってほしいなと思います。あと、小劇場空間を活かしたミュージカルっていう点では、最初(客席通路の)階段から降りてくるときに、観客との近しさを感じて、ゾクゾクッとくるものがあったので、例えば歌うときでもどんどん客席に入り込んでいくとか、そういうテクニックはあるかなと思います。ただ、歌詞が聞こえないというのは難しい。たしかに、外国のミュージカルだったら、意味分かんなくてもそれなりに感動する部分はあったりするんだけど、日本のミュージカルって、なにがしか、そこで描かれてるものが、こっちに伝える努力は必要かなと思うので、あの手この手でトライしてください。
ユニット美人
-9番目、ユニット美人。
- 渡辺
- 私はすごく好きですね! 美しかったです、ひじょうに。ビデオも好きでした。残酷な、風刺のきいた作品でしたけど。今回の二人と制作の人のやり取り、含めて私は好きですね。すごく美しい、いろんな意味で美しい芝居だと思いました。
- 堤
- お二人のコンビネーションがとてもよくて、まさに阿吽の呼吸で、漫才師になったほうがいいんじゃないかっていうくらいでした。以前に劇団衛星も拝見してるんですが、そのときにはあまり印象が残ってないんです。でも今日はバッチシ残りました。このユニットでガンガン行ってほしいな、ここに受からなくてもガンガン活動してほしいなと思いました。テレビとかも出れるんじゃないかなと思います。がんばってください。
- 坂口
- 「ブルマひとつで参りましょう」って台詞が痺れますよね。かっこいい。かっこいいと思うんだけど、これで1時間なり1時間半なり持つんだろうかって心配はあります。
- 河原
- 断然支持しますね。本格的に。ただ、お客を呼べるんですかね……? 仮に受かったとして、京都の、制作1人、女の子2人って、何ステージもやるんでしょ。
- 渡辺
- ほかにも何人も出るんですよ。
- 河原
- 京都の人が出て京都のお客さんでいっぱいになるってことですか? でも、なんか、面白かったと思う反面、劇中でも言ってたけど、二次審査に落ちたら凍えるようにして帰るんでしょ? それもちょっと楽しみなんだよね。
GiantGrammy
-10番目、GiantGrammy
- 渡辺
- これも残念なんです。一次審査のビデオは、バスター・キートンの映画みたいに、男がパッと振り向いたときに、セットが倒れてきて、男の立っているところだけ窓があいてて死なないっていう、大仕掛けのをやっていて。バカバカしいことを本気でやるぞと練習を繰り返して稽古して。だけど今日、主宰の方が「これからはしっかりしたウェルメイドをやっていく」って聞いて……残念! と思ってしまったんです。
- 堤
- ビデオでは、ほかにもセットが屋台崩しで取っ払われると、その向こうがふつうの商店街で、役者さんがそこまで行って演技してたりとか、突飛なことをやってて。その仕掛けを見て、スペクタクルなことをやってる人たちなんだろうと期待したんです。趣向性としてそうじゃないほうに行く、みたいな話をされてたんで……ぜひとも考え直していただきたい。
- ウニタ
- こういう勝負どころでは、地味なことやらないほうがいいんじゃないかなと思いました。もちろん物理的な限界はあるにせよ、ヒゲを生やした真心さん、あの方とかキャラクター的にもっと面白く使えるのにな、とか思ったんで。例えば物理的なスペクタクルが不可能であっても、ああいう人の演技とか使い方次第で、笑いがどんどん取れるのになと思いました。惜しい、みなさんと同じ意見です。
クリウィムバアニー
-最後、11番目のクリウィムバアニー。
- 渡辺
- 私は大好きなんですね、ビデオも今日のも。さっき主宰の方が「私は全然抑圧されてません」っておっしゃったけど、私は少女の中にある、もっと自由になりたいんだけど社会の中で抑圧せざるをえないような、夢があるんだけど解放したいんだけど閉じてる部分に、光を当ててる作風だと理解したんですけどね。商品性——男にとっちゃ商品なんだけど、それを逆手に取っちゃう芯の強さと、目に見えないような肉体一つ一つの表現するってやり方が、私はすごく好きなんですね。それと衣裳、坂口さんは「可愛い衣裳」って言ったけど、私はグロテスクに見える。肉色のブラジャーが見えてる、あのグロテスクさがすごく好きなんですよ。衣裳も、社会に対する風刺だと思う。少女性を表すチュチュ、一般の男の方が思う少女性を着せといて、内蔵がはみ出したようなグロテスクさを入れることで、芯にある中身は自由なんだけども、晒されている視線をかいくぐりながら、内包するものをいつか外へ出してやろうっていう、抑圧されたような孤独感、孤立感、寂しさ。選曲もすごく好きなんですよね。
- 坂口
- 「可愛すぎる衣裳」って言ったんです。そのことについてなんですけど、ちょっとだけ、全体的に狙いすぎでは? っていう感じが気になりました。僕は11組の中では一番爆発するんじゃないかなって感じました。
- 堤
- 逆に私は、狙ってないっていうか、自覚して寸止めでやめてる、って感じを持ったんです。あれ以上やると、アキバ系の萌えギャルみたいになると思うんです、かわいこぶりっこ的な。そうじゃなくて無表情に、綺麗な可愛い格好をしながら、無表情に踊っている。そのセンス、バランス感覚がすごくいいなと思いました。
- ウニタ
- 雰囲気、衣装の部分でいうとたしかにユニークで面白いんですけど。一方、ダンスとして見た場合、メインとなる菅尾さん以下何名か、日頃イデビアン・クルーの中で踊ってられるので、それとはまったく別方向のダンスを提示してほしいなというのがあった。そこまでの強度が出し切れてなくて、びみょうにイデビアン臭さも感じられる……たぶん身体になにがしか、滲みこんでしまったのではないか。キャスティングも面白いんで、丹野さんとか松浦和香子(ベターポーヅ)さんとかいいなと思うんですけど、坂口さんのおっしゃるような「狙い」、あざとさにもつながるのも感じますね。キャラに頼る甘えといったら厳しすぎるかな。
- 堤
- 私は逆に、イデビアンとは一線を画して作っている印象を持っていて。たしかに無表情でちょっと脱力しながら踊るようなタッチなんですね、振付的には。ただし、さらに脱力しているし、身体的にも柔らかい。キャラも、丹野さんも松浦さんも、ロリータ男爵とか、阿佐ヶ谷スパイダースやベターポーヅとかの劇団に出ているときとは、全然違うキャラクターで演技をしてますから、クリウィムバアニー版の演技の仕方というものを彼女たちはやっているし、またそれはきちんと振付けられていると私は解釈しています。
最終3団体選出
-11劇団ざっと見てきましたが、ここから3つを選ぶ議論に入っていきます。では、審査員のみなさんには、「来年ここで見たい!」という3劇団を選んでいただいて、発表していただければと思います。
1回目 | 上位3団体を選出 | ||
---|---|---|---|
東京デスロック | 3票 | (堤 ウニタ 坂口) | |
ブラジル | 2.5票 | (堤 ウニタ 河原△) | |
クリウィムバアニー | 3.5票 | (堤 河原△ 渡辺 坂口) | |
ユニット美人 | 4票 | (ウニタ 河原 渡辺 坂口) | |
小指値 | 2票 | (河原 渡辺) |
-ユニット美人は4票、クリウィムバアニー3.5票。この二つを合格にして、残り一つを議論するということで、よろしいですか?
- ウニタ
- 票を入れてない人がいるので、その人が納得すれば(上位2組が合格で)いいのでは。
- 堤
- ユニット美人に入れてないのは、私ですね。今日のプレゼンテーションはすごく楽しく拝見して、あれだけの人数でこれだけやって飽きさせずに楽しめたのは、さすがだと思いました。キャリアがあるんだろうと。ただ、1時間半、2時間の本公演やってどうだろうかというところで。そこが判断つきかねるかな、と。べつに嫌いなわけでも評価してないわけでもないです。
- 渡辺
- このスペースをどう料理してくれるのか、期待するんですけどね。1時間半、2時間のものをきちっとプロデュースして。ビデオでは真ん中に花道作っていて、あの劇場にふさわしい演出をしていたので、ここでも、回廊があったりいろいろしますから、そういうのを念頭に置いて新作を作ってくれるんじゃないかって思うんですけど。
- 堤
- おそらく、このユニットがまったくの初めてじゃないので、経験値もあるし、いいものを出してくると思うんです。ただ、ここを通ったら、京都からの出張で動員とかの心配もあるし、納得させてくれるものをどこまでやってくれるだろうって、まだピンと来ないんです。前回やったのはドーンセンター(大阪府立女性総合センター)でしたっけ? 助成も受けていましたよね?
- 黒木
- はい、公演は大好評でした!!!
- 河原
- 必死ですよ。超必死だよ。見てみようよ。
-いかがでしょう。
- 堤
- 決めるんだったら決めちゃったほうがいいですか。分かりました。
-では、ひとつ目、ユニット美人決定です。今日はあの3人、楽しく帰れそうですね。続いて、3.5票のクリウィムバアニーに入れていないのは、ウニタさんと、河原さんは△ですね。
- 河原
- いやイイと思うんですよ。イイと思うんだけど……もっとイイはずだと思った、単純に。だから注文というと偉そうですけど、やっぱり乙女ウリでしょ? 出てる演者の乙女をじゅうぶん引き出せてたと思えないんですよね。「乙女を商品」って言われると、僕けっこう値切っちゃう。
- 渡辺
- もっとグロテスクにやっていいとは私も思うんです。もうちょっと年配の人がやるとかね。ほんとうの少女ではない、30代ぐらいの人が出てたでしょ。それを60代とかにすると、もっとハッキリするけど、まだ若いから、突出してる部分が出づらいっていう年代ではある。
- 河原
- ふつうの振付のダンスじゃないから、人物を個性に合わせて演出するというのも、必要になってくるじゃないですか。ほんとに僕、期待値が高い。ということで、おめでとうございます。
-おめでとうございます。次に、東京デスロック、小指値、ブラジルをどうしましょう。ここを残しましょう、っていう応援演説とかありませんか?
- 渡辺
- 私は小指値のセンスが好きなんですよね。ほかが嫌だとかいうわけじゃなくて、小指値を応援したいなと。
- 河原
- 僕とえり子さん以外が、東京デスロックを推している。抗いたくなりますよね、ゲスト審査員としては。最初に言ったんですけど、東京デスロックさんね、選ばれないほうがカッコいいのにって思うんですよね。表現の可能性もすごく持ってるし、応募するなよって、むしろ思う。
- 坂口
- 河原さんだって昔応募したじゃないですか。
- 河原
- そうなのよね。動員増えたりするのよ(笑)。でもこの人たち、僕らよりトンガってるから。
- 渡辺
- 私は舞台を拝見したことないから。3票推した方は、日頃から2時間なら2時間見て、応援してるわけですよね。だから合格させたいんだろうなとは思うんですよ。私は今日生まれて初めて見て、なんか懐かしい、昔見たことある芝居だなって、私は思っちゃったわけ。
- ウニタ
- 私は見たことがないんですよ。だから、ものすごい失敗作になるかもしれない、むしろ失敗して、ぐらいのイタズラ心が働いて、票入れてます。
- 河原
- なーんか悔しいんだよなー、認めるのがちょっと。多田君っていう人の上目遣いで余裕な感じがね、ちょっとオシャレな飲み屋とか行きそうな。
- ウニタ
- 河原さんは、仮にデスロックじゃない場合、小指値とブラジルはどっちがいい?
- 河原
- 東京デスロック、収まってる、まとまってる感じがしちゃうのよね。それに比べたら男肉 du Soleilや、羽衣とかも、破壊力、壊そうとしていると、私は感じるんですけどね。
- 坂口
- 僕が今まで見た東京デスロックはむしろ、もっと乱暴で、お客さんに対してデスコミュニケーションみたいとしか見えなかった。けっこうめんどくさいなって部分もあったんですけど、今日見たら別のセンス、多田さんやほかに参加してる人たちのセンスのよさを発見できたので、逆に見てみたい。渡辺さんが言うような、破壊力はあると思いますよ。僕も昔からアングラを見てましたけど、そういう人たちとは違う、独特のセンスの面白さを感じるんですね。
- 河原
- でも、クリウィムバアニーとユニット美人って、ふつうの演劇ではない異色の2チームが決まってるわけでしょ? △といえども、票入ってるブラジルは? ストレートプレイの人に期待をかけてもいいんじゃないかって思うし、小指値は面白かったと思うし。東京デスロックの人たちって、本当に出たいの? 冷やかしで出てるんでしょ? 真剣? 真剣かあ……。
- 渡辺
- 東京デスロックが今日やったのは、役者さんだったら、全然稽古しないで即興でもできちゃうと思う。でも、小指値とかブラジルは、稽古を重ねて今日を迎えた。そう思うとやっぱ、山形出身としては汗を流して出てほしいって気が、ちょっとするんだけどね。
- 坂口
- 僕は自分で芝居を作る人間じゃないんで、渡辺さんに「すぐできちゃう」って言われると、そんなもんかなって思う部分もあるんですけど。でも僕は、やっぱり、一人一人、それなりの存在をかけて笑ってたと思いますから。誰でもできるとは、僕は思いませんでした。
- 堤
- 僕も、すぐに作れるとは思ってません。あれだけ一人一人が笑うっていうことをやって、エネルギーを放出していながら、アンサンブルとしての段取りもできてるわけですよね。だんだん鎮まっていったり、盛り上がったり、きっかけがあって。役者のクオリティが高ければ、すぐセッションみたいに合わせられるかもしれないけれど、そんな一朝一夕に作れるものでもないと思う。
- ウニタ
- 僕は、もしかしたらすぐ作れちゃうかもと思ってるんですが。実際は説明があったように、すぐには作ってないと思うんですけど。仮にすぐ作ったとしても、それはある種方法を提示したわけなので、ある程度偶然性を管理しながらやる方法を採ったというのは、ちょっと面白いなと思う。ただこれも両手を挙げて賛成してるわけではない。仮に東京デスロックじゃない場合、じゃあ小指値ならいいかというと、相対的にいうとインパクト不足だった。そういう意味では、ブラジルのほうが魅せられたなっていう。そのへんが複雑です。
-東京デスロック、小指値、ブラジルの3つから選んでみますか。
- 渡辺
- もうちょっと話が聞きたい。ユニット美人の笑わせてくれるものと、クリウィムバァニーの踊りがあって。それと「ストレートプレイもあっていいんじゃないか」って河原さんの意見も、そうか! と思ってすごく迷う。私は小指値好きですけど、そういう意味じゃブラジルのほうがいいのかも。戯曲中心なものが、選ばれてないでしょ? どうなんでしょうか。
- 坂口
- ブラジルは面白かったですよ。僕もいいと思います。いいと思いますけど、一つしか選べないのであればということで、東京デスロックです。3つのバランスっていうより、正直に順番付けてったらって感じなので、バランスはしょうがないんじゃないかなって。
- 渡辺
- 全体のバランスとか、これからの演劇の可能性とか、劇場のこととかを考えて票を入れるべきなのか。それとも、今日の10分間を見て面白いと思ったものを付けるのか。みなさんの話聞いてて、分からなくなっちゃったんです。だって、大阪の男肉 du Soleilだって、本当はもっと過激で面白いかもしれないのに、大阪だから誰も見てなくて、今日のだけで決めなきゃならない。
- 堤
- 東京デスロックは応募してきて、ここを通ったあかつきには何をやるかという企画書に『再生』という、集団自殺をする若者たちをえんえん描いていく作品の再演がしたいと書いてきた。それはどうなのかなっていう議論があったんです。多田君は、再演をするよりも、どんどん、どんどん演劇の概念を壊すような実験をやっていけばいいんじゃないかなと、個人的には思っています。だから、もしここを通っても再演ではなく新作を期待したいなと。
-だいたい出尽くしましたね。では、今日見た10分間の評価で、投票お願いします。
- 河原
- これで決まりね。△はなし?
-△なしで、一つだけですから。東京デスロック、ブラジル、小指値から選んでください。よろしいですか?
2回目 | 上位3団体を選出 | ||
---|---|---|---|
東京デスロック | 3票 | (堤 ウニタ 坂口) | |
ブラジル | 1票 | (河原) | |
小指値 | 1票 | (渡辺) |
-では3劇団目は東京デスロックに決まりました。おめでとうございます。選ばれたみなさん、壇上へどうぞ。
- ユニ
- ユニット美人の黒木です。今日はほんとに、来れてよかったなと思っています。さっきまではもうダメだと思ってました。来年公演させていただくにあたって、ここにいらっしゃるみなさん、面白いなと思った人は友達を2人連れてきてください。そしたら3ステ埋まります。よろしくお願いします。
- デス
- 東京デスロックの多田です。ありがとうございました。針のむしろをリアルに体験できました。来年は河原さんと渡辺さんが喜ぶような、面白いと言ってもらえるものを作れたらと思っています。ありがとうございました。
- クリ
- クリウィムバアニー、菅尾です。どうもありがとうございました。がんばりまーす。
-ありがとうございました。第15回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバル公開二次審査会、これにて閉会とさせていただきます。(終了)