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展覧会・イベント

第20回亀倉雄策賞受賞記念 「中村至男展2018」

  • 会期:2018.04.06 金 - 05.16 水
  • 時間:11:00a.m.-7:00p.m.
  • 日曜・祝日と4月29日(日)〜5月6日(日)は休館 入場無料

1997年に急逝したグラフィックデザイナー亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として、1999年、亀倉雄策賞が設立されました。この賞の運営と選考は公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)が行い、毎年、年鑑『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者に対して贈られます。

第20回は、中村至男氏の、個展の告知・出品ポスター「中村至男展」に決定しました。中村氏は、CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)を経て、1997年に独立。21_21 DESIGN SIGHT「単位展」のメインビジュアルや、銀座メゾンエルメスのウインドウディスプレイ、アートユニット「明和電機」の一連のグラフィックデザインや、雑誌『広告批評』のエディトリアルデザイン(1999年)、佐藤雅彦氏とのプロジェクト PlayStation「I.Q」など、ユニークな世界観でグラフィックデザイナーとして活動をしてきました。近年では、初めての絵本『どっとこどうぶつえん』がイタリアのボローニャ・ラガッツィ賞優秀賞を受賞、「松山市立子規記念博物館」のポスターで東京ADC賞を受賞するなど話題を集めています。

今回の受賞作品は、昨年2017年1月、クリエイションギャラリーG8で開催した初個展「中村至男展」の、告知および展示のための新作ポスター。ミニマルな線やフラットな色面構成により、生命を独自の切り口で表現した、ユーモアが絶妙なバランスで混在するその作品は、「テクノロジー寄りのものではなく、非常に人間的な、ナイーブさを持つ“新しさ”がある」「グラフィックの新しい鉱脈を探り当てた」と高く評価されました。この受賞を記念して個展を開催いたします。

受賞作:個展の告知・出品ポスター「中村至男展」

    中村至男

    Norio Nakamura
    アートディレクター/グラフィックデザイナー。
    川崎市生まれ。日本大学藝術学部卒業、同年CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)入社。1997年よりフリーランス。主な仕事に、21_21 DESIGN SIGHT「単位展」、銀座メゾンエルメスのウインドウディスプレイ、松山市立子規記念博物館、日本科学未来館、『広告批評』(1999年)、アートユニット「明和電機」のグラフィックデザイン、佐藤雅彦氏とのプロジェクトとして、PlayStation「I.Q」やNHKみんなのうた「テトペッテンソン」など。著書に、絵本『どっとこどうぶつえん』(福音館書店)、『勝手に広告』(佐藤雅彦と共著・マガジンハウス)、『明和電機の広告デザイン』(土佐信道と共著・NTT出版)、『7:14』など。『どっとこどうぶつえん』で、ボローニャ・ラガッツィ賞優秀賞。

    受賞のことば

    まだ駆け出しの23歳の時、毎日広告デザイン賞の端にひっかかり、帝国ホテルの授賞式で亀倉雄策さんをお見かけした。不躾に、はしゃいで求めた握手にも関わらず、亀倉さんはニコニコ気さくに応じてくださった。温かく柔らかな手。中身のない若者が何を話せるわけでもなかったが、光栄なファーストコンタクトに、この世界に一歩踏み入れた気がして浮かれた。けれど、まばゆい式典で、たくさんの受賞作や制作者たちを見ているうちに、舞い上がった気持ちはみるみるしぼみ、自分はまだ何も始まっていないことに気づかされた。まず会社に戻って仕事からがんばらねば と、トボトボ銀座から帰ったことをよく覚えている。デザインの大河に、ほんの少し手をさしただけの、最初で最後のコンタクト。それは受け入れてくれるようにも、優しく跳ね返してくれるようにも思えた。うすっぺらな若者の冷たい手を亀倉さんはどう感じたろう。
    あれから幾年も経ち、このたびの受賞を、身にあまる光栄に感じています。 と、同時になぜか、あの帰り道に、途方に暮れながら、未来を想った気持ちと同じものが湧き上がっています。つねに新しく、デザインで世界と通じることを求めた亀倉雄策さん。あの時感じた体温はまだこの手に残っています。よりいっそういいものが作れるようにがんばります。

    最後に、受賞作となった展覧会に関わってくださった方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

    中村至男

    主催 
    クリエイションギャラリーG8

    共催
    公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会 亀倉雄策賞事務局

    ■亀倉雄策賞について
    1997年に急逝した亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として、遺族の寄付により設立された亀倉雄策賞。亀倉が設立から長く会長を務めた公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)に運営を一任し、毎年『Graphic Design in Japan』応募作品の中から、最も優れた作品とその制作者を表彰する。「いつになっても東京オリンピックの亀倉と呼ばれること」を嫌い、亡くなる直前まで「今」の仕事で若い世代と競い、グラフィックデザイン誌『クリエイション』の編集を通じて、グラフィックデザインの芸術性、本質を追求した亀倉の遺志を尊重し、普遍性と革新性をもったグラフィックデザインを顕彰していく。賞金は50万円。賞状は佐藤卓によるデザイン。

    ■これまでの亀倉雄策賞受賞者
    第1回 田中一光/第2回 永井一正/第3回 原 研哉/第4回 佐藤可士和/第5回 仲條正義/第6回 服部一成第7回 勝井三雄/第8回 受賞者なし/第9回 松永 真/第10回 佐藤 卓/第11回 植原亮輔/第12回 浅葉克己第13回 受賞者なし/第14回 澁谷克彦/第15回 平野敬子/第16回 葛西 薫/第17回 佐野研二郎/第18回 三木 健/第19回 渡邉良重 ※全て敬称略

    授賞式 :2018年6月29日(金)新潟にて実施予定〈2018年度JAGDA通常総会会場〉作品発表:年鑑『Graphic Design in Japan 2018』(2018年6月発行予定/六耀社刊/予価16,200円)