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展覧会・イベント

第23回亀倉雄策賞受賞記念

田中良治「光るグラフィック展 0 」

  • 会期:2021.6.22 火 - 7.28 水
  • 時間:11:00a.m.-7:00p.m.
  • 日曜・祝日休館 入場無料

    *6.25 金、7.16 金はクリエイティブサロン収録のため、ギャラリーの開館は6:00p.m.までとなりますのでご了承ください。

    *ギャラリー入口で体温測定、手指消毒、マスク着用のご協力をお願いします。ご来場者様同士の社会的距離2mを確保いただき、37.5℃以上の発熱、咳・咽頭痛、全身倦怠感などの症状がある方は来場をお控えください。来場者多数の場合は入場制限を行うことがあります。

1997年に急逝したグラフィックデザイナー亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザインの発展に寄与することを目的として、1999年、亀倉雄策賞が設立されました。この賞の運営と選考は公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)が行い、毎年、年鑑『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者に対して贈られます。

第23回は、田中良治氏のインタラクティブデザイン「Tokyo TDC ウェブサイト」に決定しました。田中氏はウェブデザイナーとして活動を開始し、2003年にセミトランスペアレント・デザインを設立。デジタルメディアにおけるデザインや情報伝達コミュニケーションとその可能性を追求してきました。近年では、東京国立近代美術館等で開催された「トーマス・ルフ展」、近代建築物の歴史を辿る「三井本館1929-2019」、JAGDAが運営する情報と批評を軸にした「The Graphic Design Review」などのウェブサイトの企画・制作を手がけています。ウェブ分野にとどまらず、グラフィックデザインや展覧会の企画、国内外の美術館やギャラリーでの作品展示を行い、領域を横断した活動も展開。ウェブメディアを俯瞰的に捉え、優れたバランス感覚でシステムや構造に精通しながらデザインを行い、コミュニケーション手段として機能する本質的なウェブデザインのあり方を革新的に提示し続けています。

受賞作品は、東京タイプディレクターズクラブの団体情報を発信する「Tokyo TDC ウェブサイト」(https://tokyotypedirectorsclub.org/)。簡潔に情報が整理されているだけでなく、読み手を意識した間や効率性に頼らない情報の届け方を多角的に思考するオリジナリティが端々に感じられます。時折、TDC会員のデザインによる様々な書体のデジタル時計がランダムに大きく画面に表示されるスクリーンセーバーは、その時に居合わせた読み手側の偶然性を双方向に取り入れています。選考委員からは「スクリーンセーバーの仕掛けが目立つが、むしろウェブを成立させるディテールの繊細な作り込みに彼の本質がある」「ウェブサイトは情報のデザインであり、作る人のセンスが特に問われる。ヴィジュアルな魅力だけではない奥深さがある」と高く評価されました。この受賞を記念して個展を開催いたします。

photo:Ryuta Nasu

タイプディレクターズ団体のインタラクティブデザイン「Tokyo TDC ウェブサイト」
(cl:東京タイプディレクターズクラブ)
https://tokyotypedirectorsclub.org

田中良治

ウェブデザイナー/セミトランスペアレント・デザイン代表。同志社大学工学部/岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー卒業。企業ブランディング、広告の企画・制作から国内外の美術館・ギャラリーでの作品展示までウェブメディアを核としながら様々なメディアで活動。近年ではG8での「光るグラフィック」展の企画、gggでの「セミトランスペアレント・デザイン 退屈」展などがある。

受賞のことば

残念ながら亀倉雄策さんとお会いすることはできなかった。自分にとって亀倉さんとの最初の接点はクリエイションギャラリーG8でのセミトラ展(2010年)である。この展示を通じて感じたことは、それまでグラフィックデザイン界に抱いていた重厚さよりも、デジタルメディアを扱う自分のようなキワモノ(に見えたであろう者)に対して肩を組んでくるような軽快さだった。Tokyo TDCの年鑑審査会にゲストとして初めて参加したのも同時期(2009年)だった。ささやかな価値の芽生えも見逃すまいとする審査員の、作品に対する公平で謙虚な態度を目の当たりにして、こんなに静かで豊かな世界があるのかと興奮するとともに、この世界の住人になりたいと強く思った。それから10年が経ち、Tokyo TDCウェブサイトのリニューアルを手がけることになった。掲載される内容をふまえると、作家性のない見やすさに徹したサイトが良いと思った。一方、旧Tokyo TDCサイトは前田ジョンさんが作ったインタラクティブ作品が表紙になっており、このスタイルを継承することで旧サイトとの連続性が生まれると考えた。前田さんの12 o’clocksという時計をモチーフにした作品を引用し、閲覧を遮るようにグラフィックデザイナーの作った書体で時刻が表示されるというサイトが完成した。当初の目論見である見やすさからは逸脱したが、異なるデザイナーの作品が偶然に重なり予期しない造形が生まれるところに面白さを感じている。しかし、偶然性などに頼らず、一瞬で心奪われるようなものを作ることができればと願いながら、日々、制作している。

田中良治

主催 
クリエイションギャラリーG8

共催
公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会 亀倉雄策賞事務局

協力 
株式会社アマナ、谷口暁彦、HIGURE 17-15 cas、Semitransparent Design

グラフィックの下絵となった亀倉雄策氏の写真 撮影 江成常夫

亀倉雄策賞について
1997年に急逝した亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザインの発展に寄与することを目的として、1999年に遺族の寄付により設立された亀倉雄策賞。亀倉が設立から長く会長を務めた公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)に運営を一任し、毎年、年鑑『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者を表彰する。「いつになっても東京オリンピックの亀倉と呼ばれること」を嫌い、亡くなる直前まで「今」の仕事で若い世代と競い、グラフィックデザイン誌『クリエイション』の編集を通じて、グラフィックデザインの芸術性、本質を追求した亀倉の遺志を尊重し、普遍性と革新性をもったグラフィックデザインを顕彰していく。賞金は50万円。賞状は佐藤卓によるデザイン。

これまでの亀倉雄策賞受賞者
第1回 田中一光/第2回 永井一正/第3回 原 研哉/第4回 佐藤可士和/第5回 仲條正義/第6回 服部一成/第7回 勝井三雄/第8回 受賞者なし/第9回 松永 真/第10回 佐藤 卓/第11回 植原亮輔/第12回 浅葉克己/第13回 受賞者なし/第14回 澁谷克彦/第15回 平野敬子/第16回 葛西 薫/第17回 佐野研二郎/第18回 三木 健/第19回 渡邉良重/第20回 中村至男/第21回 色部義昭/第22回 菊地敦己 ※全て敬称略

掲載書籍
年鑑『Graphic Design in Japan 2021』(2021年6月発行予定/六耀社刊/予価16,500円)