折形は贈答の際の包みと結びの礼法である。その折形のバイブル的な存在に伊勢貞丈の「包結図説」がある。江戸の中期、天保十一年(1840)に出版されたものだ。「包之記」を上巻、「結之記」を下巻とし合わせて「包結図説」と呼ばれている。
その「包之記」には二十三種の折形が図入りで紹介されているが、ほとんどが見開きに完成図と展開図が示されているのみである。
この完成図と展開図の間の、省略された手順をダイアグラム化し、それを通して思考の原理・原形や文化的無意識を読み解くという試みの展覧会である。さらに、山口信博と折形デザイン研究所が十年余にわたって、古典とどのように向き合い、そこから飛躍して具体的な形へいかに着地させてきたかを、見ていただく展覧会でもある。
山口信博
PREV
NEXT
伊勢貞丈(いせ・さだたけ/いせ・ていじょう)
享保二年(1717)生まれ、天明四年(1784)没。
江戸時代中期の旗本(幕臣)・有職故実研究家。通称は平蔵、安斎と号した。
著書に、『貞丈雑記』『軍用記』『犬追物類鏡』『包結図説』『神道独語』などがある。