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展覧会・イベント

第12回写真「1_WALL」グランプリ受賞者個展

青木陽展「Inverted Spectrum」

  • 会期:2016.2.9 火 - 2.26 金
  • 時間:11:00a.m.-7:00p.m. 日曜・祝日休館 入場無料

青木陽は、日常の生活の場をテーマに撮影した作品で、第12回写真「1_WALL」のグランプリを受賞しました。審査では、「ガーリーフォトの流れを汲んだ写真を撮ろうとしたが上手くいかず、このような作品になった」とプレゼンテーションながらも、「90年代の作家たちの流れを取り入れつつ、上手く仕上がった作品」「その上でオリジナルの作品になっており、クオリティーが高い」と、審査員から高い評価を得ました。

青木が撮影しているのは、自身が住むアパートの室内や、普段散策している家の周辺、偶然出会った風景といった生活の中の一場面です。人の気配が感じられたり、生活の痕跡が見えるシーンや、無機質で何も撮っていないようで、何かが感じられる一場面を捉えています。一見、私写真のようですが、そう見えるよう意識的に撮ったものや、ある作家の作品へのオマージュ、演出を加えた人物ポートレートなど、客観的な視線で撮られたものがほとんどで、一枚一枚が異なる要素を含んでいます。そうした一貫した秩序を持たない写真を並べて、それぞれの写真が持つ意味やストーリーを分断してもなお、一枚一枚には人間の記憶や感覚に訴えかける力があり、見る者それぞれにストーリーを想像させる強度のある作品です。

青木陽

1982年広島県生まれ
2011年早稲田大学第一文学部総合人文学科哲学専修卒業

受賞:
2015年TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD #5 準グランプリ
2015年第12回写真「1_WALL」グランプリ
2014年第11回写真「1_WALL」審査員奨励賞(鷹野隆大選)
2013年塩竈フォトフェスティバル 2013 入選
2013年東川町国際写真フェスティバル 赤レンガ公開ポートフォリオオーディション 2013 グランプリ

個展:
2014年Art Gallery M84(東京)

グループ展:
2015年第12回写真「1_WALL」展、ガーディアン・ガーデン(東京)

展示によせて
ときたま歯が痛むという人がいる。その人は虫歯があるのか知覚過敏か、その人の歯痛のわけを知り、あるいは同情する。しかしどこまでいってもその痛みはその人のものであり私の痛みにはならない。
電脳化機器の浸透による写真撮影、開示の一般化には著しいものがあり、一過性の画像、現れては消えていく膨大な数の写真に溢れています。またその前提として特に90年代以降、文脈や物語性など言語を基調とした理論に頼らない表現、ごく私的な空間の提示、一瞬の感覚の共有を目指す写真表現の試みが広く受け容れられてきました。
写真はある特定の時間、場所を画像にして定着したものです。撮影された目的に係らず、写真には自然な意味、示されたいつかのどこか、があります。写真は画面の中に限っては対象の知覚以前の視覚的な感官の共有を仮想的に実現する媒体であり、私たちの写真についての経験は、一方では非常な親密さを感じると同時に、内容の理解の点では非常に曖昧なものに留まるという矛盾を生みます。

青木陽

 

審査員より
理屈が通らない気持ちを押し付けられると迷惑だ。気持ちを理屈で説明されると退屈だ。青木陽の 作品には理屈と気持ちを感じるが、そのどちらでもない。状況や現象や技術といった自分の外側に あることを検証することを撮影の起点に置きながら、記憶や想像や衝動といった自分の内側にある ことを半ば偶然に発見し、写している。そういった相反する目が同居している。低温だけれど優し い写真だ。さて、どういった定着を試みるのか楽しみだ。

菊地敦己(アートディレクター)

主催:ガーディアン・ガーデン