第15回グラフィック「1_WALL」グランプリ受賞者個展
影山紗和子は、1日の物語を40mの絵巻物に表現したイラストレーション「地獄ちっく」で、第15回グラフィック「1_WALL」のグランプリを受賞しました。審査員からは、「メディアの枠にとらわれない新たな可能性を持つ」「新鮮で明快でありながら単純ではなく深い作品」と高く評価されました。
影山は、女の子、動物、食べ物、部屋の中などをカラフルな色でポップに描いています。ヴィヴィッドな色をユニークに組み合わせて、紙に一コマずつ静止画を連続して描き、動的、時間的感覚を紙面上に取り込み、まるで映像のようにイラストレーションを展開させます。そこでつくりあげられた空想の世界は、空間的な広がりを持ち、楽しく、のびやかに表現されていますが、よく見るとグロテスクな要素も含まれ、重層的なストーリーも読み取れます。
本展では、グランプリ受賞後に描いた新作を含めて、ギャラリー空間全体で展開する作品を展示します。
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展示に寄せて
1秒目の自分、2秒目の自分を静止画として定着させ、それらは時間の経過で柔らかく形を変えてゆきます。全ての時間の自分は消えることなく、ひとつひとつが心地よく存在できる空間を作っています。今回は、バクが喰い切れなかった夢の空間。闇にんじん畑、ひみつの食品工場など、さまざまな世界のあらましをお楽しみいただけます。それでは地下室でお待ちしております。
影山紗和子
審査員より
残像なのか軌跡なのか、はたまた複数のそっくりさんが同時になにかを行っているのか、アニメーションの中割りのような連続体が、連綿と横スクロールしながら空間を紡いでいく。色気のある線だ。切ったら血が溢れてきそうな危うい線で、目のやり場に困る。その生々しい線と拮抗する色面は、ベッドメイキングしたてのシーツのような張りと羽毛布団のような柔らかさがあって、その深みに目を奪われながら時間感覚も奪われる。画像編集ソフトの塗りつぶしツールで塗られたマットな空間で、すいすいと目が泳いでいく(あるいは溺れる)。
大原大次郎(グラフィックデザイナー)