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展覧会・イベント

第18回グラフィック「1_WALL」グランプリ受賞者個展

平田尚也展「不完全な監獄」

  • 会期:2019.1.8 火 -1.25 金
  • 時間:11:00a.m. - 7:00p.m.
  • 入場無料 日曜・祝日休館

平田尚也は、ネット上の3Dデータを仮想空間で立体彫刻を作るように組み立てた作品「“Demon” “Space Ship” “Royal Drive”」で、第18回グラフィック「1_WALL」グランプリを受賞しました。審査員からは、高い完成度やユニークな着眼点が高く評価されました。

大学時代に彫刻を専攻していた平田は、高価な彫刻素材ではなく、ネット上で無限に収集することができるフリーの3Dデータや画像データなどを作品に用い始めました。重力などを自身で数値によって定義したコンピュータの仮想空間内で、収集したデータをもとに制作した作品を「仮想空間内の彫刻」と捉えています。本展では、置物、動物、自転車などの乗り物、家具、植物などの3Dデータを自身の“文法”によって組み立てた新作等を展示します。撮影したような視点で切り取られ紙に出力された仮想空間のオブジェクトは、仮想現実と現実、立体と平面の関係性を浮かび上がらせます。

1月17日(木)には、グラフィックデザイナーの菊地敦己さんをゲストに迎え、彫刻とグラフィックをテーマにしたトークイベントを開催します。受賞から1年後の個展をぜひご覧ください。

主催:ガーディアン・ガーデン
協力:株式会社堀内カラー、株式会社マル・ビ

Hanged Man

潜伏

Baby trick

Wild view

Saturn

HIrata naoya photoGB
平田 尚也
1991年長野県生まれ
2014年武蔵野美術大学彫刻学科卒業
2016年トーキョーワンダーウォール2016入選
2018年第18回グラフィック「1_WALL」グランプリ
2018年第21回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品選出

 

展示に寄せて

昔思い描いていた自分の作家像と今の自分とを比べてみると、なんでこうなってしまったのだろうとつくづく思うが、「仮想空間」の中で彫刻を構築し、存在の在りかを確かめるような今のスタイルはかなりはまってきている。思い返せば小さい頃からインターネットやデジタルゲームに囲まれて育ってきた私である。今こうしてバーチャルにどっぷり浸かったものをつくっているのは必然的なことなのかもしれない。
特に最近は至る所で仮想体験をすることが多くなってきて、そういったものにリアリティを感じることに抵抗がなくなってきている気がする。それはYouTubeで誰かのゲーム実況動画を見ているとき、Netflixで機械学習によっておすすめされたB級映画を見ているとき、Instagramのタイムラインに流れてくるどうでもいい料理の画像を見ているときetc.
全てはこのどこまでも続く愛すべき監獄の中での出来事で、その中の「モノ」は愉快で死の匂いがしない。///監獄はどちらか、つまらないことを言ってみる。

平田尚也

 

審査員より

大袈裟に「仮想世界」とか「仮想現実」とか言ってしまうとおぼろげに羞恥心を感じる今日この頃。それくらいコンピュータ上の空間は日常的なものになりました。そんな場所に、有用とは言い難い造形物が存在することは良いことです。無駄なものがあってこそのリアリティですね。目的よりも、衝動や思い込みでつくられたものは、時として我々の健全で平凡な判断に戸惑いをもたらしてくれます。スッキリする答えよりも、モヤモヤした疑いに出会うことが、やはり面白いことです。
そういった意味合いで、平田尚也の3Dデータの彫刻作品は腑に落ちない要素でいっぱいです。なぜレディメイドの素材を使うのか? なぜ重力構造を持っているのか? なぜシメトリカルな形態なのか? そして、なぜ実物ではいけないのか? 云々。
素材にしているレディメイドの日用品のサイズから推すると、彫刻としては常識的な1〜2メートル程度のサイズで、しかも台に置かれていたりするから、モニタ上で見る限りそれは実際に存在している作品の記録写真のように見えます。そのパロディー的なバーチャル感が一つの面白みになっているわけですが、では、実物が置いてあることが当然のギャラリー空間ではどうなるのでしょう。物理的にも情報的にも経済的にもどのように流通させるのか、そのあたりが大変興味深い作品です。

菊地敦己(グラフィックデザイナー)

主催:ガーディアン・ガーデン
協力:株式会社堀内カラー、株式会社マル・ビ