1.
井上志保 Shiho Inoue
『少年Aの風景』
2005年6月6日(月)〜6月11日(土)
私はA少年の犯罪現場を追体験することを通して、彼の心の襞に近づいて、この犯罪の意味を考えた。
現場でシャボン玉を発生させる参加行為を通して、日常の中に潜む非日常的事実を視覚化するよう試みた。
※少年事件の足跡をたどることで、少年の心に迫り事件の意味を考えようとした作品。
1981年生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。現在、同大学研究生。
2.
船戸太郎 Taro Funado
『Far East the Residence』
2005年6月13日(月)〜6月18日(土)
首都圏郊外にたたずむ低高層マンション。
ニュータウンのシンボル的存在とも言えるマンションと、それを取り囲む風景は、どこかスタイリッシュで既に完成された都市空間に見える。しかし一方で、毎週末に届けられる新築マンションの新聞折込広告の過剰さは、都市の変貌を示唆している。繰り広げられるマンション建築の中で、都市は更なる充足へと収束するのか、それとも果てしない離散へと向かうのか。
私は、高所からの撮影を反復することで、現在の都市の気配が漂う写真にしたいと考えている。
※首都圏郊外はこれからどうなっていくのか。マンション群で構成される都市風景をとらえた作品。
1970年生まれ。1999年金村修ワークショップ参加。現在、会社員。
3.
滝沢友彦 Tomohiko Takizawa
『THE WINK GAME』
2005年6月20日(月)〜6月25日(土)
大都会のど真ん中に僕らは巣を作った。この街のカラスがハンガーを使ってそうするように、僕らはスケートボードを使って。
何かが起きれば写真が撮れるし、何も起こらなければスケートボードに夢中になれる。
街を楽しむための僕なりの方法。通り過ぎるだけでは決して見えないストリートの残酷な価値観を味わう。余計な事なんて考えているヒマはない。つまらない事は徹底的に排除。面倒クサい事大好き。ケンカだろうが祝い事だろうがど真ん中が一番面白い。
※都会の真ん中で、スケートボードを片手に仲間たちと居場所を作った。そのストリートの気分と感覚をおさめた作品。
1977年生まれ。2004年2人展「プレイバック」開催。現在、グラフィックデザイナー。
4.
崔殷植 Choi, Eun-Sik
『向き合う—川崎朝鮮初中級学校の記録』
2005年6月27日(月)〜7月2日(土)
私がある人たちを他人だと認識したのはなぜだろう。マスコミは、このように人が何かについて考える時、大きな影響を及ぼす。マスコミは信頼してもいいのか、また、私が韓国で受けた歴史の教育のために朝鮮学校の人たちを他人だと認識するようになったのではないか、こんな思いが撮影のきっかけになった。運動会の時、がんばっている学生たちの姿をみて、彼らの力と夢を感じることができた。今は聞こえないかもしれないけれど、私たちが心から彼らを理解した時、彼らの声が聞こえるようになるのではないかと思う。
※韓国から日本に留学して初めて知った朝鮮学校の存在。自分の目で確かめようとカメラを携えて校内を撮った作品。
1972年生まれ。大邱芸術大学(韓国)卒業。東京工芸大学大学院修了。現在、フリー。
5.
三田村陽 Akira Mitamura
『対岸』
2005年7月4日(月)〜7月9日(土)
街を横切ると対岸は幾度も現れた。ここから見えない界隈の起伏や反射に眼は呼ばれる気がする。何故広島なのか。疑念を孕む当惑や沈黙は自らの肉にもある。だが混沌にくすぶる芯のような動機が無縁な足を運ばせる謎。謎は返答になりえない。今はただ隔たりを注視し続けるしかない。ある人は云った『ソレハ君ニ「広島ガ」オトズレテイルト云ウ事デハナイカ』。どのみち予感へ従う蒙昧な躯。せめて主題は段階的に明かされるとうそぶいてみるのです。
※「広島」に近づきたくても近づけない隔たりのようなものを感じ、その謎を解き明かすために撮り続けている作品。
1973年生まれ。大阪芸術大学卒業。京都造形芸術大学大学院修了。現在、フリー。