第30回写真『ひとつぼ展』グランプリ受賞者個展
ガーディアン・ガーデンでは、2月16日から奥出和典展(写真展)を開催いたします。奥出は、2008年2月から3月にかけて開催された第30回写真『ひとつぼ展』(公募展) において、グランプリを受賞し、一年の制作期間を経て今回の個展開催にいたりました。
奥出和典の被写体となるのは、一緒に育ち成長した実の妹です。ある事をきっかけに奥出は妹との間に距離を感じ、それを埋めようと、カメラのファインダーを通して「彼女」と向き合いました。写真を撮ることで理解したのは、妹に対する複雑な感情、自分にとって妹の存在の大きさ。昨年の『ひとつぼ展』の時と同様に、目の前の「彼女」をストレートに表現したカラー作品に加え、今回の個展では、過去にプリントした写真を再度スキャン、出力したモノクロ作品を展示します。カラーで写しだされた現在進行形のリアルな「彼女」と、モノクロで幻想的に現れた過去の「彼女」。過去を辿ることで記憶の中まで表現したいという奥出の新しい試みになります。
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展示によせて
越えてはならない聖域を、いつの間にか僕は越えてしまったのだろうか。
だけど、確かに「彼女」はそこにいた。
絶対的な妹という存在。
KERBEROS(ケルベロス)=ギリシア神話に登場する地獄の番犬の名
奥出和典
審査員からのコメント
普通に撮っているところが面白いと思います。へんな力みや妙な構えを感じさせずに普通に撮る。自分の考えや感情を押しつけないで、最大限に自分の気配を消して目の前の被写体に集中する。一人称や三人称の写真ではなく、二人称の写真。二人称の写真に必要なのは目の前の対象だけで、自分の眼球なんかどうでもいい。眼球という視覚操作なしに普通に撮る。普通に撮るというのは自分を消して、被写体の動きに引きずられて被写体の言われるがままに撮ることで、主体的に“見る”という意識を放棄してファインダーを覗いている。本当に必要なのは“見る自分”ではなく被写体の妹、主体が消えた対象だけの妹で、それ以外何もいらないし、付加価値もいらない。普通の妹。プラスアルファのない妹。そこら辺に転がっている石みたいな妹。特別な価値を持つ妹よりも、石みたいで物質的な妹を撮っている。
金村修(写真家)
第30回写真『ひとつぼ展』
2008年2月18日(月)〜3月6日(木)開催
公開二次審査会 2008年2月21日(木)
以下の審査員により選出されました。
金村修(写真家)
原耕一(アートディレクター)
平木収(写真評論家)
安田千絵(写真家)
大迫修三(クリエイションギャラリーG8)
※五十音順、敬称略
主催:ガーディアン・ガーデン