The Second Stage at GG #25
『ひとつぼ展』は昨年春に30回を迎えました。これまでの入選者688名の中からは、各界で活躍をするクリエイターが数多く登場しています。「The Second Stage at GG」シリーズは、『ひとつぼ展』入選者たちのその後の様子を伝える展覧会です。
写真家林田摂子は「箱庭の季節」と題し、長崎の小さな海辺の街にある母親の生まれ育った寺を10年以上にわたり撮り続けています。幼い頃から引っ越しを繰り返してきた林田にとって、毎年夏休みに訪れるその場所は、「帰ってきた」と心から感じることのできる唯一でした。変わらない景色、変わらない時間の流れ——。しかし、確かにそこには変わり続けるものがありました。それは人間の生命の営み。寺は幾百年と変わり続ける生命の流れをじっと静かに見届けてきました。そしてある時、林田は気づくのです。自分自身もその生命の流れの一部だと。
これらの作品は2000年写真「人間の街」プロジェクトPart.2で発表後、2008年には中国平遥国際写真フェスティバルに出展されました。そして今回の展示では、さらに最新の作品を加え再編成します。林田の心をとらえ続ける「生命の繋がり」をどうぞご覧ください。
展示によせて
どうしてもっと色んなことを聞かなかったんだろう。
一人寂しそうに座ってたのに、どうして話しかけられなかったんだろう。
私はただシャッターを押しただけだった。
どんな気持ちでシャッターを押していたんだろう。
たくさん話したいことはあるけれど、会うことさえできなかった。
私の目の前には祖父の撮った写真があるだけ。
生まれたばかりの赤ちゃんを見て貧血を起こしてしまった。
私も生まれた時はこんな姿だったんだろうか。
子供達は会うたびに確実に成長している。
どう生まれてきたのか
どう他人と関わっていくのか
どう自分と関わっていくのか
どう死んでいくのか
ここにいると想像できる。
遠い遠い過去からの繋がりで今ここにいるということ。
これから来る未来に繋げていくということ。
底の底の一番大切なことは静かにあり続ける。
林田摂子
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主催:ガーディアン・ガーデン