The Second Stage at GG #31
ガーディアン・ガーデンでは、「The Second Stage at GG」シリーズ第31弾を開催する運びとなりました。若手表現者を応援しようと1992年から2008年まで開催した公募展『ひとつぼ展』、2009年にスタートした「1_WALL」の入選者の中からは、各界で活躍する作家が数多く登場しています。このシリーズは、そうした『ひとつぼ展』と「1_WALL」の卒業生たちのその後の活動を紹介する展覧会です。
今回の第31弾では金川晋吾をご紹介いたします。金川は、父親を題材にした作品制作を長年続けています。ある日突然いなくなり、数ヶ月間行方がわからなくなってしまうという金川の父親は、定職を持たず、ひとりで暮らしています。父親との関わり方を探りながら、金川はふたりの関係性を写真に撮ろうと思い始めます。父親を被写体に撮影を続けていくなかで、金川はカメラを父親に託し、毎日自らのセルフポートレートを撮ることもリクエストします。このレンズを介してのやりとりは、父子の関係を繋ぐために大きな役割を果たすことになり、3年間続いています。カメラを見つめる父親のまなざしはどこに向かっているのか。是非、会場でご覧ください。
展示によせて
私の父には蒸発癖があった。蒸発によって、父は家も仕事もなくした。現在、父はアパートに一人で暮らし、国が保障している健康で文化的な最低限度の生活を送っている。
2009年の4月、私は父に35mmフィルムのコンパクトカメラを預けて、毎日父自身の顔を撮影するように頼んだ。何か明確な意図があったわけではなかったが、仕事もなく一日中家にいる父に何かをさせたいと思って始めた。私と父との関係性が、このような撮影方法をもたらしたのだろう。意外にも、父はこの撮影を律儀に真面目に継続してくれている(行方をくらませていたために写真が撮られていない期間もあるのだが)。これだけの写真を父が撮り続けてくれていることに対して、私は感謝せずにはいられない。
この作品がいつ終わるのかはよくわからないが、少なくとも私から自発的に終わらせるということはまずないだろう。父が撮らなくなるか、あるいは撮れなくなるまで、この作品は続いていく。
金川晋吾
主催:ガーディアン・ガーデン