ガーディアン・ガーデンでは、個展開催の権利をかけた公募展、第9回写真「1_WALL」展を開催します。ポートフォリオ審査による一次審査と、一対一で審査員と対話をする二次審査を通過したファイナリスト6名が、一人一壁面を使って作品を発表するグループ展に挑みます。会期中の10月9日(水)には、グランプリを決定する公開最終審査が開催されます。一般見学者の目前でファイナリストによるプレゼンテーションが行われ、審査員による議論の後、グランプリが決定します。受賞者には1年後の個展開催とパンフレット制作の権利が贈られます。
第9回目の今回は、ポートレートを中心に撮影された作品が数多く選出されました。自分にとって最も身近な弟という存在を通じて姉弟の間にある関係を見つめた作品、兵役や大学入試などの葛藤する韓国の若者たちを描いた作品、日本に住む日系ブラジル人コミュニティを丹念に撮影した作品、暗がりに浮かび上がる男性のヌードを不安げに切り取った作品、少女の描く憧れと理想の世界に自分をあてはめたセルフポートレート作品、デジタルカメラに残る撮った記憶のないイメージの蓄積に新たな意味を与えた作品など、様々な作品が集まりました。
一体誰がグランプリを獲得するのか、今後の写真界での活躍が期待されるのは誰なのか、ぜひ皆さんの目でお確かめください。
第9回写真「1_WALL」ファイナリスト6名
10月9日の公開最終審査会で、葛西優人さんがグランプリに決定しました。
伊澤絵里奈 Erina Izawa
1989年生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。東京工芸大学大学院芸術学研究科メディアアート専攻写真領域修了。
『うつろに、溶け込んで』
「私に最も近い存在、それが弟なのかもしれない。」
*グランプリ*
葛西優人 Yuto Kasai
1988年生まれ。東京理科大学卒業。
『Marginal Man is Dead』
混沌に名前を与えたくて撮っていた。
立ち上がる前に弔いの言葉を。
不条理に、過去に、未来に。
この手で、世界を、変えていく。
世界を、作っていく。
千賀英俊 Hidetoshi Senga
1978年生まれ。山梨学院大学卒業。名古屋ビジュアルアーツ卒業。
『ブラジリアン・ラプソディー』
様々な文化と人が混在する団地で懸命に生きている日系ブラジル人を、目の前の出来事を大切にしながら、そして人や物に出会えたことに感謝して残していきたいと思った。
富谷龍樹 Tatsuki Tomiya
1992年生まれ。武蔵野美術大学造形学部映像学科4年在籍。
『case』
撮像面上で発生した出来事について
宮崎いず美 Izumi Miyazaki
1994年生まれ。武蔵野美術大学造形学部映像学科2年在籍。
『世界の私』
現実世界で、私は私よりも可愛い人や愛される人に強い嫉妬心を抱きます。でも私が作った世界の私はそんな人たちも超越します。
李東雄 Dongwoong Lee
1988年ソウル生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科4年在籍。
『Korean 20’s』
私は20代の半分を日本で過ごしている上に韓国の兵役を経験していない。なので普通の韓国人とは自分で思えない。だからこそ同じ国籍を持つ、同じ世代の彼らが気になった。
伊澤絵里奈
1989年生まれ。
東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。
東京工芸大学大学院芸術学研究科メディアアート専攻写真領域修了。
葛西優人
1988年生まれ。東京理科大学卒業。
受賞:2013年第9回写真「1_WALL」グランプリ受賞。
愛知県生まれ。
山梨学院大学卒業、名古屋ビジュアルアーツ卒業。
富士フィルム新人賞奨励賞、第9回写真「1_WALL」ファイナリスト。
個展に「唐紙の花」 -Brazilians in Toyot...
富谷龍樹
1992年生まれ。
武蔵野美術大学造形学部映像学科4年在籍。
宮﨑いず美
1994年生まれ。
武蔵野美術大学造形学部映像学科2年在籍。
李東雄
1988年ソウル生まれ。
東京工芸大学芸術学部写真学科4年在籍。
審査員(50音順、敬称略)
鷹野隆大(写真家)
1963年生まれ。主な写真集に『IN MY ROOM』(蒼穹舎)、『男の乗り方』(Akio Nagasawa Publishing)、『カスババ』(発行:大和プレス/発売:アートイット)、『α』(SUPER DELUXE)、『まなざしに触れる』(共著、水声社)。2006年に第31回木村伊兵衛写真賞受賞。
土田ヒロミ(写真家)
1939年福井県生まれ。主な作品に「俗神」(1976)、「ヒロシマ」(1985)、「砂を数える」(1990)、「BERLIN」(2011)など。2008年土門拳賞受賞。作品コレクションは東京都写真美術館、ニューヨーク近代美術館、パリ・ポンピドーセンターなど。
姫野希美(赤々舎代表取締役 ディレクター)
2006 年に赤々舎を設立。写真集、美術書を中心に200冊余りの書籍を刊行。第33回木村伊兵衛写真賞の志賀理江子『CANARY』、岡田敦『I am』、第34回同賞の 浅田政志『浅田家』、第35回同賞の高木こずえ『MID』『GROUND』、第38回同賞の百々新『対岸』、第40回同賞の石川竜一『絶景のポリフォニー』『okinawan portraits 2010-2012』、第43 回同賞の藤岡亜弥『川はゆく』などがある。2018年より大阪芸術大学教授。
増田玲(東京国立近代美術館主任研究員)
1968年神戸市生まれ。筑波大学大学院地域研究研究科修了。1992年より東京国立近代美術館に勤務。担当した主な展覧会に「ジョセフ・クーデルカ展」(2013年)、「奈良原一高 王国」(2014年)、「トーマス・ルフ展」(2016年) など。
町口覚(アートディレクター、パブリッシャー)
デザイン事務所「マッチアンドカンパニー」主宰。2005年に写真集レーベル「M」を立ち上げ、写真集販売会社「bookshop M」を設立。2008年より世界最大級の写真の祭典「PARIS PHOTO」に出展しつづける等、独自の姿勢でものづくりに取り組み、世界を視野に〝日本の写真集の可能性〟を追求している。