1. TOP
  2. 展覧会・イベント
  3. 下野薫子展「Infinite Painting」

展覧会・イベント

第8回グラフィック「1_WALL」グランプリ受賞者個展

下野薫子展「Infinite Painting」

  • 会期:2014.1.14 火 - 1.30 木
  • 時間:11:00a.m.-7:00p.m. 日曜休館 入場無料

様式から開放された新しい時代の表現に注目
下野薫子は、制作のメインであった油絵から一転、ベジェ曲線の可能性に着目し、デジタル絵画という新たなジャンルに挑戦した作品「reach」で、第8回グラフィック「1_WALL」のグランプリを受賞しました。「油絵からの作業的な飛躍が、かなり新鮮な作品」「描きかけでも許される絵画の特性を、デジタルでやった事が素晴らしい。ドローイングとペインティングの二項対立など面白い」と審査員5名全員の票を集め、「絵とはなにか」という問いに意識的に取り組む姿勢が高く評価されました。
下野は「reach」から今回の作品「Infinite Painting」まで、一貫して絵画の物質性について言及しています。コンピューターを用いて描かれるデジタル絵画は、油絵具のようにマチエールが際立つ従来の絵画表現とは異なり、質感の要素が少なく、またプリントアウトをしない限り、物質としても存在しないものです。下野はそこに着目し、キャンバスという支持体の制約から解放された、サイズ可変によって画像が劣化しないベクターデータの特性と、どれだけ拡大縮小しても物質的な制限を受けないという構造を柔軟に自身の制作に取り入れ、描くという事を一から自らに問いただしました。
人物やモノといった、自分の意識が記号化されるモチーフを極力排除し、線を描くことに対する自由度や、作品の持つ価値や物質的な質量に「軽さ」を求める下野。新作「Infinite Painting」では、画素の集合体である写真データをパスという線で色面分割したデータへと変換することで、写真の機能を分解し、過去の名画や身近な風景の中に存在した、自然の光や色を新たな画材として使用することを試みました。
様式から解放された新しい時代の作家として注目を集める下野薫子の初の個展です。ぜひ会場でご覧ください。

下野薫子

1988年東京生まれ。2013年武蔵野美術大学卒業。

展示によせて
今回展示する作品は、ネット上にある画像や自分で撮った写真など、多様なイメージを集め、再構成したデジタル絵画である。正方形のピクセルの集まりであるビットマップデータの画像を、数式で描かれるベジェ曲線によって色面分割することでベクターデータにしている。元の像が判別できなくなるまで、分割された色面を並べかえ、それを絵の具のように使い絵を描いている。それぞれの写真によって色面の分割のされ方は違い、それがアナログの絵画の様なランダムな筆跡をつくっている。アナログの絵画との大きな違いは、物理的に存在せず、重さを持たない、無限に拡大縮小することができるベジェ曲線で描かれているということである。

下野薫子

審査員より
正直なところ、下野薫子の作品が何であるか、まだ掴みきれていない。しかしながら、その作品から、僕自身が抱えていた停滞を晴らすかのような、晴れやかな衝撃を受けた。物質という束縛から自由になったグラフィックが、時間や空間の隔たりを飛び越え、ただ在る。さて、どんな展開を見せるのだろう。期待に心躍らせつつ、恐ろしさも感じている。

菊地敦己(アートディレクター)

第8回グラフィック「1_WALL」展
2013年2月25日~ 3月21日開催
公開最終審査会 2013年3月6日(水)

以下の審査員により、下野薫子さんがグランプリに選出されました。
[審査員]
居山浩二(アートディレクター、グラフィックデザイナー)
大塚いちお(イラストレーター、アートディレクター)
柿木原政広(アートディレクター)
菊地敦己(アートディレクター)
都築潤(イラストレーター、グラフィックデザイナー)
※五十音順、敬称略
>第8回グラフィック「1_WALL」展の情報はこちら