第10回グラフィック「1_WALL」グランプリ受賞者個展
LEE KAN KYOは、増殖していくアイドルをテーマに、約400個のバッチを使って制作された作品「あの子のバッチ」で、第10回グラフィック「1_WALL」のグランプリを受賞しました。個性的で、強く印象に残る作品で、造形力があり、可能性を感じると審査員から高い評価を得ました。
日本のカルチャーに興味を持ち、2007年に台湾から来日したLEEは、東京造形大学グラフィックデザイン専攻に編入後、同大学院に進学。メディアで大量に生産、消費されるイメージを独自の表現スタイルによって複製を繰り返していくグラフィック作品や、パフォーマンス作品を中心に制作しています。
近年の作品でLEEは、日本社会における時代を象徴する存在として、日々メディアに登場するアイドルの様相に注目しています。歌番組で、同年代の女性達が、同じ衣装を身に纏い、画面の中で溢れんばかりに並ぶ光景を目にしたLEEは、増殖していくアイドルをモチーフにしたシリーズ作品の制作を始めます。LEEの作品は、一見すると華やかなステージの上に立つアイドルの輝く姿を描こうとするポップな作品に見えます。しかしシリーズを通して作品を捉えると、メディアの中で消費されていくイメージの無限の広がりと反復の中から現代社会の一断面を垣間見ることができます。
今回の展覧会では、架空のアイドルをモチーフにした等身大の抱き枕約13体のインスタレーション作品「HOLD ON あの子!」を始めとする、これまでにLEEが制作してきたアイドルをテーマとした作品を中心に発表します。大量の色彩と架空のアイドルの肖像が渦巻くLEE独自の世界観を是非会場でご覧下さい。
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展示によせて
大きな夢を見るには、大きい枕がいい。
新作「HOLD ON あの子!」は愛を込めて、時代の波に乗っているあの子たちを
フワフワリッチな抱き枕にしました。今回の個展では、今までの作品に加え、
「あの人たち」、「あの子のバッチ」、「HOLD ON あの子!」のLEEのアイドル
三部作を中心に発表します。是非会場で、等身大の彼女たちの感触をお楽しみ下さい。
LEE KAN KYO
審査員より
LEEの作品からは、多少の皮肉は感じれど(LEEくんの描くアイドルは全然かわいくない)、アイドルや大量複製物に対する批判や反省はほとんど感じられません。それよりも、その増殖と反復運動の快感を表象させようとしているように見えます。だからきっと、1枚の絵に定着するのではなく、たくさんのモノを作らなければならないのでしょう。イメージの定着ではなく、メディア自体の無限の運動を再生するために。
菊地敦己(アートディレクター)
第10回グラフィック「1_WALL」展
2014年2月24日(月)~3月20日(木)開催
公開最終審査会 2013年3月6日(金)
以下の審査員により、LEE KAN KYOさんがグランプリに選出されました。
[審査員]
居山浩二(アートディレクター、グラフィックデザイナー)
柿木原政広(アートディレクター)
菊地敦己(アートディレクター)
都築潤(イラストレーター、グラフィックデザイナー)
長崎訓子(イラストレーター)
※五十音順、敬称略
第10回グラフィック「1_WALL」展の情報はこちら
主催:ガーディアン・ガーデン