第7回亀倉雄策賞受賞
1997年に急逝したグラフィックデザイナー亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として、1999年、亀倉雄策賞が設立されました。この賞の運営と選考はJAGDA(社団法人日本グラフィックデザイナー協会)が行い、毎年『GraphicDesign in Japan』(今回『JAGDA年鑑』より改称)出品作品の中から、年間で最も優れた作品に対して贈られます。
第7回となる今回は、勝井三雄氏の作品集「視覚の地平 visionary∞scape」のポスターに決定しました。コンピュータを駆使し、華麗な色彩とフォルム、緻密な構成を作り上げていること、ポスター中央のぼかし部分の面白さがあるなど、作品を通して、勝井氏の仕事の蓄積が見えてきます。これは大規模な勝井氏の個展で展示したポスターでもありますが、この個展は勝井作品の思考までも一望できる論理的な展示で高い評価を得ました。勝井氏は早くから写真技術を駆使し、光をテーマに作品を作り続けていましたが、コンピュータという先進的な道具をいち早く導入し、今の時代を見越したデジタル感覚な作品を作りはじめました。現在のデジタル化社会の先駆者として、まさに視覚の地平を開いてきたのです。
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展示内容
受賞作品「視覚の地平 visionary∞scape」ポスターのほか、昨年富山県立近代美術館で展示した「水を誌(しる)す」のインスタレーションの再現や壮大な歴史の移り変わりを時間軸で追った宇宙・地球史が凝縮された本『土の記憶』を、パネルと映像を使って会場に展示します。
巡回展
新潟 10月8日(土)~16日(日)
長岡・新潟県立近代美術館ギャラリー
新潟県長岡市宮関町字居掛278-14 TEL 0258-28-4111
亀倉雄策賞について
1997年急逝した亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として遺族の寄付により設立された亀倉雄策賞。亀倉が設立から長く会長を務めたJAGDA(社団法人日本グラフィックデザイナー協会)に運営を一任し、毎年国内賞「亀倉雄策賞」を、さらに3年に一度「亀倉雄策国際賞」を授与する。「亀倉雄策賞」は『Graphic Desingnin Japan』応募作品の中から、「亀倉雄策国際賞」は富山県立近代美術館で開催される「世界ポスタートリエンナーレトヤマ」の応募作品の中から、最も優れた作品の制作者を表彰するもの。「いつになっても東京オリンピックの亀倉と呼ばれること」を嫌い、亡くなる直前まで「今」の仕事で若い世代と競い、グラフィックデザイン誌『クリエイション』の編集を通じて、グラフィックデザインの芸術性、本質を追求した亀倉の遺志を尊重し、普遍性と革新性をもったグラフィックデザインを顕彰していく。賞金はいずれも50万円。賞状は佐藤卓によるデザイン。
[これまでの亀倉賞受賞者]
第1回 田中一光
第2回 永井一正
第3回 原研哉
第4回 佐藤可士和
第5回 仲條正義
第6回 服部一成 ※全て敬称略