カラフルでコンセプチュアルなインスタレーション作品や舞台美術から、物語性のあるイラストレーションまで、幅広く手がけるポール・コックス。日本では、2015年の北陸新幹線開業のキャンペーンや、2013年ルミネのクリスマスキャンペーンをはじめとするイラストレーションを手がけ、注目を集めています。本展は、南仏マルセイユのギャラリー、フォトキノで開催された個展「Aire de jeu(遊び場)」の作品を、新たにG8バージョンとして制作・再構成。ポール・コックスが作り出す、遊び心あふれるインスタレーション作品を、ぜひ会場で体験してください。
展覧会によせて
「ローラースケープ」のインスタレーションは、切り抜いてペイントし、ローラーをつけたオブジェを集めたものです。さまざまな尺で描かれた風景のパーツを、来訪者は自由に動かすことができます。まるで役者やダンサーが自分たちの演し物の美術を組み立てるかのように。画家が、一番眺めの良い風景を探すように。またもしくは、マルセル・デュシャンの言葉「タブローを作り出すのは、それを視る者である」かのように。
バレエやオペラの舞台美術の仕事から学んだことや、舞台上で見出すことのできることが好きな詩的な舞台美術の裏側などに、思いを馳せながら、ローラーのついた風景を制作しました。また、私の絵画制作において、構図を重ねて展開することに、大変興味を抱いています。それは世界に対する私たちのベーシックな視点だと思うのです。あまりにも基本的すぎて、注意を払うことがないぐらいです。しかし、ひとつのオブジェのある部分が、その前に置かれた他のオブジェで隠されているのを観察するのは興味深いことです。隠されていてもどんなオブジェかわかるかどうかについて考えるのは、楽しいのです。この、重ねることや隠すことについての研究は、絵画の歴史においても、非常に心を惹かれるテーマです。
この作品を制作しながら、多くの尊敬するアーティストたちに慎み深いオマージュを捧げたいと思います。イサム・ノグチの「プレイグラウンド」とその「プレイスケープ」、エンツォ・マーリの「ザ・ビッグ・ストーン・ゲーム」、アンドレ・エレの描いたドビュッシー作曲の「おもちゃ箱」の楽譜絵本、アレックス・カッツの「カットアウト」作品、そして、私が子供の頃、オランダのお城の中で見た、ミステリアスな等身大の木製人形「ダミー・ボード」に。
ポール・コックス
展示内容
南仏マルセイユで開催されたポール・コックスの個展”Aire de jeu(遊び場)”の作品を、新たにG8バージョンとして制作・再構成。数々の大きな立体作品を、来場者が自由に動かし空間をつくることができるインスタレーション作品を展示します。
主催
クリエイションギャラリーG8
協力
Bureau Kida
同時開催
ポール・コックス作品展
会期:2015.10.10(土)-11.3(火・祝)
時間:1:00p.m.-7:00p.m.
月曜〜水曜休館/祝日開館
パールブックショップ&ギャラリー
〒151-0066 東京都渋谷区西原2-26-5 パールマンション1F パドラーズコーヒー横
※イラストレーションの原画やポスターを展示、販売します。