戦後デザイン界を大きくリードしてきた巨星たちの中で、いまなおみずみずしい仕事を発表しつづけ、デザイン界、イラストレーション界への指導力を発揮しつづける早川良雄。着物をきた女性をモチーフにした一連の「秀彩会」や、「カロン洋裁研究所」ポスターで一大センセーションを巻き起こし、その後も様々な場面で影響を与えてきました。
今回の個展では、清く、明るく、美しくという、仕事ではどうしても課せられる枠を自らはずし、新たな作品を実験的に制作。会場には「女の顔」をテーマにした、新作イラストレーションの原画とその新作のデザインポスター、また京阪百貨店ポスターシリーズなどの近作、あわせて約60点を展示いたします。
斬新なアイデアで大胆にかつ奔放に描かれる形や線。そして早川良雄ならではの巧みな色彩感覚によって描き出される、メタモルフォーゼされた「女の顔」。どこかはかなげで、その内面の心情、生命感、実在感をも醸し出し、多くの人の心を惹きつけるイラストレーションの数々です。新境地で描かれる早川絵画にご注目ください。
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展示内容
「女の顔」をテーマにした新作イラストレーション17点とその新作ポスター6点を発表。 また、京阪百貨店ポスターシリーズのイラストレーションなどの近作、あわせて約60点を展示。
展覧会によせて
女の顔の原画の展示─がG8の要請であった。過去の作品はその殆どが受注原稿であり、その方の出品はセレクトすれば事足りる。だが、今回は、新しくオリジナルをかなりの点数描かなければならない。これが大変だった。もともと“何々のため”という依頼者の希望に沿って描いてきた習慣のためか、自発的に描く作業には柄にもない緊張があった。できるだけ肩の力を抜いて作品ごとに変化をつけようと心掛けてみたものの、結果はどうだろうか。この文章を書いている時点では未だ制作途中で、自分の眼で総べての成果を確認できずにいるが、ただ、清く明るく美しく─という枷から解放される自由さが楽しかった。
早川良雄