第4回亀倉雄策賞受賞作家展
1997年に急逝したグラフィックデザイナー亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として、 1999年、亀倉雄策賞が設立されました。この賞の運営と選考はJAGDA(社団法人日本グラフィックデザイナー協会)が行い、毎年『JAGDA年鑑』 出品作品の中から、年間で最も優れた作品に対して贈られます。
第4回となる今回は、佐藤可士和の大胆な色面構成とロゴだけで表現されたポスター「Smap」が選ばれました。アイドルグループの広告であるにもかかわらず、あえて顔写真を使わずに色の三原色で表現した作品は、正攻法でなく常識を破る表現であり、グラフィックの根源的な力を見せつけたデザインの勝利と高く評価されています。
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展示内容
赤・青・黄色のビジュアルを街中に溢れさせた「Smap」のキャンペーン展開を、受賞作品であるポスターと共に、再度集結させ展示します。 併せて、12色のベストを記号として展開させた「Smap Vest」、裏表をひっくり返したロゴタイプで表現した裏ベスト盤「ウラスマ」、 そして写真集「Snap」キャンぺ-ンと、4回に及ぶ大胆なデザインと仕掛けで見せつけたトータルなアートディレクションの力を振り返り、 展示します。
会場では佐藤可士和さんの最新作である「キリン極生」のパッケージも展示します。
受賞者のことば
東京オリンピック翌年に生まれた僕は亀倉先生のオリンピックのポスターをリアルタイムで見ていません。でも後に美大に入り、グラフィックデザインを志した頃から、 先生のそのポスターは、強く惹き付けられる、僕にとって何か特別なものでした。日の丸と五輪という最小限のモチーフで構成され、一度見たら忘れられないインパクト を残すそのデザインの考え方に深く感動し、以来そういうことが僕の中でグラフィックデザインや広告を制作するうえで、ひとつの基準となってきたような気がします。 シンプルで明快で強いもの、デザインの力で世の中に物事を定着させるようなことをずっと目指してきました。そしていつか亀倉先生にお目にかかりデザインのお話を 直接伺ってみたいと願っていましたが、残念ながら遂にその機会は訪れませんでした。今回この賞をいただいた「Smap」は、シンプルな三原色とロゴでマークを作り、 あたかも「Smap」という超メジャーなブランドが立ち上がったかのような擬似CIキャンペーンです。本人たちのビジュアルを一切露出せず、Smapの人気、実力、存在感を ロゴデザインに集約し、視覚化したこのキャンペーンは、先生のオリンピックのポスターに出逢って以来僕がずっとやりたかったことがやっと実現できたクリエイティブ です。そんな仕事でこの賞をいただくことができて心から嬉しく思うと同時に、これからもクリエイティブの突破力「Power of Design」を信じて明快で強いものを 作り続けていきたいと願っております。
佐藤可士和
亀倉雄策賞について
1997年急逝した亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として遺族の寄付により設立された 亀倉雄策賞。亀倉が設立から長く会長を務めたJAGDA(社団法人日本グラフィックデザイナー協会)に運営を一任し、毎年国内賞「亀倉雄策賞」 を、さらに3年に一度「亀倉雄策国際賞」を授与する。「亀倉雄策賞」は、『JAGDA年鑑』応募作品の中から、「亀倉雄策国際賞」は富山県立近代美術館 で開催される「世界ポスタートリエンナーレトヤマ」の応募作品の中から、最も優れた作品の制作者を表彰するもの。
「いつになっても五輪の亀倉と呼ばれること」を嫌い、亡くなる直前まで「今」の仕事で若い世代と競い、グラフィックデザイン誌『クリエイション』 の編集を通じて、グラフィックデザインの芸術性、本質を追求した亀倉の遺志を尊重し、普遍性と革新性をもったグラフィックデザインを顕彰していく。 賞金はいずれも50万円。賞状は佐藤卓によるデザイン。第1回受賞者は田中一光、第2回受賞者は永井一正、第3回受賞者は原研哉。 ※全て敬称略