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展覧会・イベント

第15回亀倉雄策賞受賞記念

平野敬子展「Vision and Realization」

  • 会期:2013.3.27 水 - 4.26 金
  • 時間:11:00a.m.-7:00p.m. 日曜・祝日休館 入場無料

1997年に急逝したグラフィックデザイナー亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として、1999年、亀倉雄策賞が設立されました。この賞の運営と選考は社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)が行い、毎年、年鑑『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者に対して贈られます。
第15回は、平野敬子氏の、美術館の周年事業関連制作物「東京国立近代美術館 60周年」に決定しました。
工藤青石氏とともに設立したコミュニケーションデザイン研究所(CDL)で、デザインにより最良のコミュニケーションを生むことを理想とし、NTTドコモ「F702iD 所作」のプロダクトデザイン及びトータルブランディングや、竹尾、特種製紙の白い紙「ルミネッセンス」の開発、展覧会企画や書籍編纂など、分野を横断して活動する平野氏。
平野氏による東京国立近代美術館の仕事は、2002年の開館50周年リニューアル・オープンの際にシンボルマーク&VI計画を手掛けたことに始まりました。その縁が今日に繋がり制作に至ったという受賞作は、「グラフィックデザインの本来的な社会性を再び気づかせた、品格のある誠実な仕事」と評価され、今回の受賞となりました。
この受賞を記念して個展を開催いたします。

受賞作品 美術館の周年事業関連制作物「東京国立近代美術館 60周年」(cl:東京国立近代美術館)

平野敬子

1959年兵庫県生まれ。1997年 HIRANO STUDIO設立。2005年に工藤青石とともにコミュニケーションデザイン研究所(CDL)を設立。グラフィック、プロダクト、空間、ブランディング、展覧会の企画など、多様な活動領域でデザインを具体化する。主な仕事として、東京国立近代美術館のシンボルマーク・ロゴタイプ・VI計画・同美術館60周年シンボルマーク、資生堂の化粧品ブランド“qiora(キオラ)”のブランディング、NTTドコモ「F702iD 所作」のプロダクトデザイン及びトータルディレクション、竹尾・特種製紙の白い紙「ルミネッセンス」の開発、展覧会「時代のアイコン」展の企画・構成・会場デザイン及び同タイトルの書籍の編纂。JAGDA新人賞、東京ADC賞、NYADC賞金賞、毎日デザイン賞、IFデザイン賞など受賞多数。

展示内容
受賞作となった東京国立近代美術館のデザイン制作物を中心に、展覧会タイトル 「Vision and Realization」をテーマに、活動実績の一端を展示します。

受賞のことば
東京国立近代美術館60周年の仕事に対して、亀倉雄策先生のお名前を冠した、グラフィックデザインの最上位の賞賛をいただきましたことは、ビジュアル・コミュニケーションに対する同美術館の判断への評価であるとともに、このことを広く認知していただく結果となり、公共の場においてデザインの責務を負う者として、何よりも福音であったと思います。このような栄誉を与えてくださいましたことに、心より感謝申し上げます。
2002年のシンボルマーク開発からはじまった美術館の仕事は、時の経過とともに思考を重ねながら関係性を育み、今日に至るまで、職員のみなさまの名刺や展覧会の特別招待状、観覧券、ステーショナリーなどの、美術館の運営に必要な制作物を継続的に手がけてきました。これらの仕事は、デザイン開発とともに、デザインの運用に関わる環境づくりや印刷管理といった地道な活動が中心でしたが、国立の美術館としてのイメージを保ち、高めるためには、公共の場に相応しい品格を備えた質の高い制作物を納めることが確実な方法であると確信があり、管理人の仕事を担わせていただきました。
イメージ構築の理想を目指すためには、依頼主の理解と協力体制が必要でしたので、職員のみなさまに手間を強いてきたと思います。そして、印刷会社の仕事を超えた尽力がなければ継続は不可能でした。長い年月の間には迷いが生じたときもありましたが、美術館を寄贈されたブリヂストン創業者の石橋正二郎氏や建築を手がけられた谷口吉郎氏、歴代の職員のみなさまといった美術館の活動に宿る、眼に見えない崇高な精神からの霊感をイメージすると仕事の大義が見えてきて、迷いを払拭することができました。
10年の時を横断したデザインの意義や価値を理解してくださり、60周年という美術館にとって記念の時に、デザイン開発を託してくださいました加茂川幸夫館長をはじめとする関係者のみなさまに、この場をお借りし、心より御礼申し上げます。何にもまして、デザインの態度や判断を信頼していただけることが、創造と継続の力となっています。

平野敬子

主催
クリエイションギャラリーG8

共催
社団法人日本グラフィックデザイナー協会 亀倉雄策賞事務局

亀倉雄策賞について
1997年急逝した亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として遺族の寄付により設立された亀倉雄策賞。亀倉が設立から長く会長を務めた社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)に運営を一任し、毎年国内賞「亀倉雄策賞」を、さらに3年に一度「亀倉雄策国際賞」を授与する。「亀倉雄策賞」は『Graphic Design in Japan』応募作品の中から、最も優れた作品とその制作者を、「亀倉雄策国際賞」は富山県立近代美術館で開催される「世界ポスタートリエンナーレトヤマ」の応募作品の中から、国際性と普遍性の高い、優れた作品とその制作者を表彰するもの。「いつになっても東京オリンピックの亀倉と呼ばれること」を嫌い、亡くなる直前まで「今」の仕事で若い世代と競い、グラフィックデザイン誌『クリエイション』の編集を通じて、グラフィックデザインの芸術性、本質を追求した亀倉の遺志を尊重し、普遍性と革新性をもったグラフィックデザインを顕彰していく。賞金はいずれも50万円。賞状は佐藤卓によるデザイン。

これまでの亀倉雄策賞受賞者
第1回 田中一光/第2回 永井一正/第3回 原 研哉/第4回 佐藤可士和/第5回 仲條正義/第6回 服部一成
第7回 勝井三雄/第8回 受賞者なし/第9回 松永 真/第10回 佐藤 卓/第11回 植原亮輔/第12回 浅葉克己
第13回 受賞者なし/第14回 澁谷克彦 ※全て敬称略

授賞式
2013年6月14日(金)東京にて実施予定〈2013年度JAGDA通常総会会場〉

作品発表
年鑑『Graphic Design in Japan 2013』(2013年6月発行予定/六耀社刊/予価15,750円)