AC部は、1999年に多摩美術大学在学中に結成されたクリエイティブチーム。テレビ番組やCM、ミュージックビデオなどを中心に、ハイテンションで濃厚なビジュアル表現と映像で、話題作を次々と発表し、注目を集めています。
そんなAC部が作品を制作するうえでテーマにしてきたのが「違和感」。その原体験は、学生時代のデッサンの講評会までさかのぼります。上手な作品が並ぶ中で、わざと下手に崩して描き提出したら、みんなが面白がったこと──。
そのときの状況や与えられた枠組みの中で、いかに「違和感」を作り出し、観る人を楽しませるか。その積み重ねがAC部の作風であり魅力として、高い支持を得ている理由といえます。
クリエイターや映像の業界でコアなファンを獲得してきたAC部が、世間に広く知られるきっかけになった仕事のひとつに、2016年の東京都選挙管理委員会のPR動画「18歳選挙権」があります。さらに2018年に放送されたTVアニメ「ポプテピピック」内のコーナー「ボブネミミッミ」も、SNSを中心に大きな反響を呼びました。
最近では、ニューヨークを拠点とする世界的なエクスペリメンタルロックバンド、バトルスとのミュージックビデオコラボレーションや現代アート作品の制作発表など、ますます活動の場を広げています。
今回は、AC部作品の根源的なテーマである「違和感」を軸に、新作で構成する展覧会です。活動開始から24年目となるAC部が、これまで追い続けてきたテーマに、改めてどう向き合い、どのような作品表現を試みるのか。ぜひ会場で繰り広げられる「異和感」をお楽しみください。
AC部は20年以上に渡り、動画制作を中心とした活動をしてきました。それは、違和感を追い続けてきた活動だったようにも思います。ただ、違和感とはどのようなモノなのか。それは感覚でしかなく、体系化もしてきませんでした。
今回の展示タイトルは「AC部 異和感ナイズ展」です。違和感を作り出すために、何を考えてきたのかを自己確認しながら、それらを異空間の中で、違和感を持って提示できればと思っています。
AC部