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展覧会・イベント

第25回亀倉雄策賞受賞記念

三澤遥 個展「Just by | だけ しか たった」

  • 会期:2023.7.4 火 - 7.27 木
  • 時間:11:00a.m.-7:00p.m.
  • 日曜・祝日休館 入場無料

1997年に急逝したグラフィックデザイナー亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザインの発展に寄与することを目的として、1999年、亀倉雄策賞が設立されました。この賞の運営と選考は公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)が行い、毎年、年鑑『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者に対して贈られます。

第25回となる今回は、岡崎智弘の放送局の番組コンテンツ映像「デザインあneo あのテーマ」、および三澤遥の幼稚園のサイン計画「⽟造幼稚園」がそれぞれ⻲倉雄策賞に選ばれました。

岡崎の作品は、「あ」の一文字と白い紙のみを素材とした、放送局の番組コンテンツ映像。選考委員からは「コマ撮りアニメーションというありふれた手法を深く追求し、他の追随を許さない領域に達して世界にも類を見ない」「イメージがどのような視覚体験として伝わるかというグラフィックデザインの原点を感じさせる」などと評されました。

また三澤の作品は、円筒形を駆使した立体造形と独特の配色による、幼稚園のサイン計画。「この数年、高いレベルで受賞を競ってきた三澤の仕事に共通するデリケートさを持った作品」「今回はさらに新たなデザインの切り口を発見し定着させた仕事で、表現の幅の広さを見せた」などの評価を得て、亀倉雄策賞としては初めてとなる2作品の同時受賞が決定しました。

この受賞を記念し、6月に岡崎、7月に三澤による個展を開催いたします。

 

Photo: Masaki OGAWA

幼稚園のサイン計画「玉造幼稚園」(cl:玉造幼稚園/ジャクエツ)

三澤遥

1982年生まれ。
武蔵野美術大学卒業後、デザインオフィスnendoを経て、日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。
2014年より三澤デザイン研究室として活動開始。
ものごとの奥に潜む原理を観察し、そこから引き出した未知の可能性を視覚化する試みを、実験的なアプローチによって続けている。
主な仕事に、水中環境を新たな風景に再構築した「waterscape」、かつてない紙の可能性を探求した「動紙」、国立科学博物館の移動展示キット「WHO ARE WE」、隠岐ユネスコジオパークの泊まれる拠点「Entô」のアートディレクション、上野動物園の知られざる魅力をビジュアル化した「UENO PLANET」がある。

https://misawa.ndc.co.jp/

 

受賞のことば

私には未完プロジェクトがいくつかある。敢えて、完成させないようにしている。
例えば、紙の可能性を探求する『動紙』はそのうちのひとつで、5年に亘って研究している。まだまだこれから、10年、20年と続けていくかもしれない。継続的な試みの中にしか見えてこないものづくりの質を追求し、仲間と数々の実験や検証をしていく時間は、まるで社会との接点を暗闇で探るようで、地道ながら刺激に満ちている。わくわくすることもあるし、途方もない気持ちになることもある。つくることで、もっとわからなくなることもある。つくり続けるその先で何に出会えるかはまだわからないが、想像も及ばないものと遭遇できる可能性に大いに期待し、つくることを止めないでおく。これまで制作発表した作品も、まだ変化している途中の状態かもしれない。そう捉えてみると、まだまだ先の姿を考えてみたくなる。まだまだ、をつくる。すると、まだまだ面白がれる。まだまだ、の思考が次に進む力となる。

玉造幼稚園のサインは、金属の輪っかの組み合わせから成る。これらはすべて、輪っかの大きさ、重なりやずれの違いから生まれた簡潔な形状をしている。一見、オブジェや彫刻のようなサインらしからぬ佇まいは、子どもたちに観察し想像することを問う。これはなんだろう、と。サインに書かれた文字がまだ幼くて読めなくても、彼らは柔軟な発想で周辺や世界を捕まえようとする。子どもたちのことをそっと近くで見守るような、柔らかなコミュニケーションをサインに。最初から具体的なイメージを決めず、原寸の紙模型で検証を重ね、要素を削ぎ落としながら造形やストーリーを編集して構築していくプロセスは、これまで三澤デザイン研究室が繰り返し行なってきた実験と検証の延長にある。

最近になってようやく、未完プロジェクトが多種多様なかたちでつながり始め、絡まり合い、広がり出している。でも、まだまだ。これから先が、きっともっと面白い。

三澤遥

主催 
クリエイションギャラリーG8

共催
公益社団法人日本グラフィックデザイン協会、亀倉雄策賞事務局

協力
鈴田克弥、水野真由、竹下早紀、小野さくら、岡本まい、金井夏実、菊村龍之介、鳥生菜々子、ネートダオ・オンアータワン、林 真衣、細貝麻衣、森 茉莉亜、森島 洸、渡瀬奈々、椿原正洋

デザイン:三澤 遥、本山真帆、鈴木正樹、佐々木耕平、來昌史、山本洸太
コピーライティング:磯目 健
写真:北村圭介
音楽:Heima
プロデュース:曽根良恵
施工:HIGURE 17-15 cas
印刷:山田写真製版所
加工:ショウエイ、K-craft、鎚絵

亀倉雄策賞について
1997年に急逝した亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザインの発展に寄与することを目的として、1999年 に遺族の寄付により創設。亀倉が設立から長く会長を務めた公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)に運営を一任し、毎年、年鑑『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者を表彰する。また、「亀倉雄策国際賞」では、富山県立近代美術館で開催される「世界ポスタートリエンナーレトヤマ」の応募作 品の中から、国際性と普遍性の高い、優れた作品とその制作者を表彰する。 「いつになっても東京オリンピックの亀倉と呼ばれること」を嫌い、亡くなる直前まで「今」の仕事で若い世代と競い、グラフィックデザイン誌『クリエイション』の編集を通じて、グラフィックデザインの芸術性、本質を追求した亀倉の遺志を尊重し、普遍性と革新性をもったグラフィックデザインを顕彰していく。賞金は50万円。

これまでの亀倉雄策賞受賞者
第1回 田中一光/第2回 永井一正/第3回 原 研哉/第4回 佐藤可士和/第5回 仲條正義/第6回 服部一成/第7回 勝井三雄/第8回 受賞者なし/第9回 松永 真/第10回 佐藤 卓/第11回 植原亮輔/第12回 浅葉克己/第13回 受賞者なし/第14回 澁谷克彦/第15回 平野敬子/第16回 葛西 薫/第17回 佐野研二郎/第18回 三木 健/第19回 渡邉良重/第20回 中村至男/第21回 色部義昭/第22回 菊地敦己/第23回 田中良治/第24回 大貫卓也 ※全て敬称略

掲載書籍
年鑑『Graphic Design in Japan 2023』(2023年7月発行予定/六耀社刊/予価16,500円)