The Second Stage at GG #34
ガーディアン・ガーデンでは、「The Second Stage at GG」シリーズ第34弾を開催する運びとなりました。若手表現者を応援しようと1992年から2008年まで開催した公募展『ひとつぼ展』、2009年にスタートした「1_WALL」の入選者の中からは、各界で活躍する作家が数多く登場しています。このシリーズは、そうした『ひとつぼ展』と「1_WALL」の卒業生たちのその後の活動を伝えるための展覧会です。
今回の第34弾では、アーティストの水野健一郎をご紹介します。水野は、ドローイングをわざとピントをぼかしたり照明をつけたりしてビデオカメラで撮影したものをビデオプリンター出力し、さらにカラーコピーで拡大した、映像の一コマのようなデジタルとアナログの狭間にあるような作品『Peeping Tom』で第5回グラフィックアート『ひとつぼ展』に入選しました(1995年)。
幼少の頃から日本のテレビアニメに多大なる影響を受け、さらにカルトムービーと現代美術の洗礼を受けた水野が生み出すアニメーション作品には、明確なストーリーも整合性も存在せず、一方でアニメチックな既視感の断片があちこちにちりばめられています。水野は自身の作品を「SF=サイエンス・フィクション」のつもりだといいますが、それはむしろ「SF=シュール・ファンタジー」ともいえるユニークな存在感を放ち、テレビアニメでも現代美術でもない、「アートとしてのアニメーション」を確立しつつあります。
今回の個展では、新作短編アニメーションの上映とあわせて、その制作過程で生まれたラフスケッチやドローイング、キャラクター設定画、絵コンテ、原画、背景画などを一同に展示し、水野の世界観を存分に味わっていただけます。ぜひ会場でご覧ください。
ガーディアン・ガーデン
展示に寄せて
頭の中に散乱している曖昧な物語の断片をかき集め、片っ端からアニメ化します!
水野健一郎
―無数にある既視感を分類しそれぞれを自在に作品へと帰結させる手腕は圧巻の一言。引用の域を完全に超えた咀嚼と醸造、そしてアウトプットのフィーリングが備わってなければ達成できない。
都築潤(イラストレーター・グラフィックデザイナー)
―約束事の傍らに佇み、特に役割があるわけでもないが、ただ存在させられてしまったもの。水野健一郎の絵には、そしてアニメーションには、そういったものだけが残りつづけている。始まりもなく、終わりもなく、ただ無為に、永遠に消えさることもできない彼ら彼女らが棲むその世界は、私たちの奥底に眠る、覚えているつもりもなかった記憶の断片を引きずり出し、不気味な鈍い光を帯びて、取り憑くようなリアリティでやはり佇み、そして取り憑いて、これからずっと離れることがない。
土居伸彰(アニメーション研究・評論)
PREV
NEXT
主催:ガーディアン・ガーデン