The Second Stage at GG #4
ガーディアン・ガーデンでは、今年1月に新しい企画展シリーズ「The Second Stage」をスタートさせましたが、このたび、同シリーズ第4弾を開催する運びとなりました。 当ギャラリーは、若手表現者に「表現の場」と「機会」を提供しようと、主に公募展を中心に活動を続けております。10年目を迎える『ひとつぼ展』も、回を重ねるたびに優秀な作品が集まり、グランプリを選ぶこともますます難しくなってきました。さらに、これまでの入選者468名の中からは、グランプリを取った取らないにかかわらず、すでに各界で活躍を始めた若手クリエイターも数多く出ています。この企画展はそうした『ひとつぼ展』の卒業生たちの、その後の様子を伝えるための展覧会です。
第4弾の小林紀晴は、第1回(1992年)、第2回写真『ひとつぼ展』(1993年)に入選しました。その直後に、のびやかな写真と瑞々しい文体でアジアを旅する若者の姿を捉えた『ASIAN JAPANESE』を刊行しデビューを果たしました。世界中を移動しながらそのナイーブな感性で写しとる写真と文章は、世代を超えて人気を博しています。今回の展覧会では、ひとつのテーマでまとめるのではなく、これまでの16年間の作家活動を振り返って、なぜ遠くへ行きたがるのか、自分の中に密かに息づくものを見いだそうとするものです。
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展覧会によせて
写真を撮ることを始めてから16年がたちました。そのあいだにけして少なくない数の写真を撮りました。東京での日常や、でかけていったいくつものアジアの国々、ヨーロッパ、中南米、最近では一年余り滞在したニューヨークなどです。 遠くへ、とにかく遠くへ行きたいと、ずっと思ってきました。その気持ちはいまもかわりません。でもどうしてそれほど遠くへばかり行きたがるのだろうかとも思います。 今回、16年分の写真をあらためて眺めてみると、「希薄」という言葉が最初に浮かびました。それらの写真から自分の生活や日常といったものの具体的なカタチがなかなか見えてこなかったからかもしれません。考えてみれば移動する時間の中にこそ、僕のそれはあるような気がします。
小林紀晴