第1回写真「1_WALL」グランプリ受賞者個展
ガーディアン・ガーデンでは、2009年に『ひとつぼ展』よりリニューアルした公募展「1_WALL」の第1回写真部門グランプリ受賞者、仲山姉妹による個展「菊ヲエラブ」を開催いたします。
個展にあわせて制作したパンフレットも会場で販売いたします。
仲山姉妹は、家族やアルバイト先で出会った人や物との交流を写真や映像、パフォーマンスによって記録し、作品をつくりあげます。その彼女が初めて本格的に写真に取り組んだ作品が、昨年グランプリを獲得した「化石」でした。入院中の祖父の体にジオラマをほどこし、消えゆく彼の記憶をカタチに残してあげようというまっすぐな表現には、難しいコンセプトも高度なテクニックもなく、日常への純粋な好奇心があるだけでした。
菊に投影する
今回の展示では、自身を見つめ直す日々のなかで生まれた新作を発表いたします。
今春、仲山姉妹は新たな出会いを求め、日本有数の菊の生産地である沖永良部島へと向かいました。しかし、美しい花畑の予想に反して目の前に現われたのは、針金の支柱と化学肥料漬けの中で咲く、痛々しくも逞しい菊の姿でした。農園に住み込みながら、菊の収穫に従事する毎日。さまざまな想いに揺れる彼女の心は、いつしかその菊に自らを重ね合わせていくようになります。
写真を中心に映像とともに展開する仲山姉妹の繊細な心の動きをぜひ会場でご覧ください。
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展示によせて
私は菊を選びに来たのに菊は私に選ぶ余地さえ与えてくれなかった。
苗の時からネットと針金に守られて10日に1回の農薬散布、
夜には電球の光を浴び昼と間違えて育つ。
だから何も迷わず、何も疑わず、何も知らずにまっすぐ伸びる。
その力強さといったら宇宙人なみだろう。
でも、針金がないと80㎝の大人になった時に足もと5㎝から
ポッキリと折れてしまう弱い植物だ。
人間でいうと世間知らずの箱入り娘なんだろう。
菊は農薬を浴びすぎて自ら薬を発するようになっていた。
こんな女子がいたら厄介だと思うけど、
それって実は私だったりして。
今、気づいたよ。
仲山姉妹
審査員からのコメント
おそらく仲山さんにとって写真は、出会った人を記録し、忘れたくない人をそこに留めておくための道具のひとつなのだと思う。でもだから私は仲山さんの作品に可能性を感じるのだ。そこには今はもう居なくなってしまった人が存在しているという、写真本来の力が宿っていると思う。そして彼女はただ写真を撮るだけでなく、模型やテキストなどを使った彼女独自の方法で、その世界を広げて行く。
野口里佳(写真作家)
第1回写真「1_WALL」展
2009年8月24日(月)〜9月17日(木)開催
公開最終審査会 2009年9月3日(木)
以下の審査員により、仲山姉妹さんがグランプリに選出されました。
[審査員]
菊地敦己(アートディレクター)
鈴木理策(写真家)
竹内万里子(写真評論家)
野口里佳(写真作家)
町口覚(アートディレクター)
※五十音順・敬称略
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