The Second Stage at GG #8
ガーディアン・ガーデンでは、2002年1月に新しい企画展シリーズ「The Second Stage」をスタートさせましたが、このたび、同シリーズ第8弾を開催する運びとなりました。当ギャラリーは、若手表現者に「表現の場」と「機会」を提供しようと、主に公募展を中心に活動を続けております。 11年目を迎える『ひとつぼ展』の入選者488名の中からは、グランプリを取った取らないにかかわらず、すでに各界で活躍を始めた若手クリエイターも 数多く出ています。この企画展はそうした『ひとつぼ展』の卒業生たちの、その後の様子を伝えるための展覧会です。
第8弾の小野博は、第8回写真『ひとつぼ展』(1996年)に入選し、 その後、2000年には横浜美術館「反記憶-現代写真」展に参加したり、本年度のVOCA展奨励賞を受賞するなど、現代写真の担い手の一人として 注目されています。現在はオランダ・アムステルダムに在住していますが、世界中の風景を被写体に、各地を移動しながら作品を撮り続けています。 これまで彼は、負の歴史を持つ場所の光景を写しとり、一つの地平線で結び、我々の日常の隣に潜む危機をたんたんと提示してきました。 今回の作品では、あっけらかんとした平和な風景を地平線あるいは水平線で結び合わせ、世界の空気が繋がっているという、どことなく 郷愁感や安堵感のようなものを見る側に与えてくれます。
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展覧会によせて
あなたの一番リラックスしている瞬間何を考えているかを思い出してみて下さい。
多分それはきっと空白だと思います。
何を考えているか、何をイメージしているか漠然としていて掴めないけれども、きっと孤独感や焦燥感や劣等感や空虚感を感じている時に感じる何かが足りない感覚としての黒い空白とは違い、真っ白く、とても美しく、充実感と呼ぶべき空白だと思います。
きっとその感覚というのは世界中の人々が同等に持っていて、それぞれの人がそれぞれに日常の中の本当に小さな祝祭として真っ白になれる空白の一瞬を持っている。
人はどうしても社会の中で他者と関わりを持たなくてはなりません。社会的な場での様々なコミュニケーション、言いたくない言葉、聞きたくない言葉、電車の中での関わりたくない人との接触、煙だらけの喫煙室に入った時の様に感じるテレビをつけた瞬間、それらは人によって、日によって、またその瞬間の気分によって違いがあるけれど、その全てはあなたの心の負荷となり、ストレスとして澱の様にたまってゆく。
日々のある一瞬だけ感じる、あの空白の時間は、きっと社会生活を送る人間に必要な白昼夢だと思う。
今回の「Another Bus」の作品では、世界中で撮影したその空白の状態の人々の気持ちの繋がりを提示しています。
この作品の中の人々の空白は、忙しい生活の中にいるあなたの一瞬の空白と繋がっています。
この作品を見て、あなたの空白の時間にこの作品の中の空白を思い出し、世界の色んな人々の空白とあなたの空白と繋がっていると感じてもらえればこの作品はあなたの中で完成します。