ガーディアン・ガーデンでは、一次審査(ポートフォリオ審査)と二次審査(ポートフォリオレビュー)を通過した6名が、個展開催の権利をかけて作品を発表する第3回写真「1_WALL」展を開催します。また会期中の10月1日(金)には、グランプリを決定する最終審査を公開で行います。一般見学者の目前でファイナリストによるプレゼンテーションが行われ、審査員による論議の後、グランプリが決まります。受賞者には1年後の個展開催と作品パンフレット制作の権利が送られます。
「1_WALL」は『ひとつぼ展』をリニューアルし2009年からスタートした公募展で、今回で3回を迎えます。グランプリまでの3度にわたる審査では、応募者の実力や今後の可能性がジャッジされます。応募者にとっては何度も審査を経るため、表現者としての本気度をより問われる公募展です。今回ファイナリストに選ばれた6名は、それぞれのオリジナリティを追求したアプローチで写真と対峙し、真摯に作品を制作している表現者たちです。この中から誰がグランプリを獲得するのか、ぜひ皆さんの目でお確かめください。
第3回写真「1_WALL」ファイナリスト6名
10月1日の公開最終審査会で、金瑞姫さんがグランプリに決定しました。
天野祐子 Yuko Amano
1985年生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。武蔵野美術大学大学院デザイン専攻写真コース修了。
「around a pond」
ここは特別な場所ではないけれど何でもあって、
おたまじゃくしが空を飛び、虫が鳥になる。
水が空を写すと、記憶の中にもうひとつの空ができる。
全部同じではないかと思う。
いしかわみちこ Michiko Ishikawa
1986年生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。武蔵野美術大学大学院在学中。
「A」
時間にしたらたった5分の出来事が、
自分の中に大きな”なにか”として残った。
それはわたしの意思とは裏腹に、
わたしの中で増殖する。
今、それと向かい合わなきゃいけないと思った。
伊藤哲郎 Tetsuro Ito
1981年生まれ。武蔵野美術大学卒業。
「僕の郊外」
些細な出来事が写った写真は、
ありふれた風景を見直すきっかけになります。
そういう視線で長らく過ごしてきた郊外を
見つめ直すような作品にしたいです。
神崎雄三 Yuzo Kanzaki
1984年生まれ。立命館大学理工学部機械工学科卒業。
「ive」
暗闇に光を放とう。
光は感覚を追い闇は情と偏見を消す。
ただ、耳に響くノイズと無垢が流れるだけでいい。
*グランプリ*
金瑞姫 Mizuki Kin
1987年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科情報芸術コース卒業。東京藝術大学大学院在学。
「Lights」
人々の部屋を“光を見るための箱”として捉え、
無事件のまま過ぎていく日常に
光がたちあげる尊い存在を感じる時間を、
永遠のものとして定着させるためにこの作品を作りました。
山野浩司 Koji Yamano
1982年生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。
「ルール」
積まれたペットボトルのキャップの反復です。
一見無意味なものに対して、思う事は十人十色です。
1985年生まれ。武蔵野美術大学大学院デザイン専攻写真コース修了。
主な個展:
2013年「unknown|renown」(G/P gallery, 東京)、
グループ展・イベントに、201...
1986年生まれ。武蔵野美術大学大学院デザイン専攻写真コース修了。
主な展示:
2014年「武蔵野美術大学助手展2014」(武蔵野美術大学美術館・図書館,東京)、2013年「NICE TO M...
伊藤哲郎
1981年生まれ。
武蔵野美術大学卒業。
神崎雄三
1984年生まれ。
立命館大学理工学部機械工学科卒業。
金瑞姫
1987年東京生まれ。2010年多摩美術大学情報デザイン学科情報芸術コース卒業。現在、東京藝術大学大学院に在学。
山野浩司
1982年生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。代官山スタジオ入社。現在、間仲宇氏に師事。
審査員(50音順、敬称略)
金村修(写真家)
写真家1964 年東京都生まれ。
1992年、東京綜合写真専門学校在校中にオランダ・ロッテルダム写真ビエンナーレに招聘される。
1997年、日本写真家協会新人賞、第13回東川町国際写真フェスティバル新人作家賞、2000 年、第19回土門拳賞を受賞。
写真集に『Spider’s Strategy』『In-between 12 金村修 ドイツ、フィンランド』『German Suplex』ほか、著書に『漸進快楽写真家』がある。
鈴木理策(写真家)
1963年和歌山県新宮市生まれ。2000年に写真集『PILES OF TIME』で第25回木村伊兵衛写真賞受賞。近著に『Water Mirror』(Case Publishing/日本芸術写真協会)、『SAKURA』(edition nord)、『Étude』(SUPER LABO)、『海と山のあいだ』(amanasalto)、『意識の流れ』(edition nord)、『Atelier of Cézanne』(Nazraeli Press)等。
町口覚(アートディレクター、パブリッシャー)
デザイン事務所「マッチアンドカンパニー」主宰。2005年に写真集レーベル「M」を立ち上げ、写真集販売会社「bookshop M」を設立。2008年より世界最大級の写真の祭典「PARIS PHOTO」に出展しつづける等、独自の姿勢でものづくりに取り組み、世界を視野に〝日本の写真集の可能性〟を追求している。
光田ゆり(美術評論家)
美術館学芸員。京都大学文学部卒業。著書『高松次郎 言葉ともの ―日本の現代美術1961-72』(水声社)を刊行。ほかに『写真、芸術との界面に』(青弓社、日本写真協会賞)、『野島康三写真集』(赤々舎)、『大辻清司 出会いとコラボレーション』(共著、フィルムアート社)などがある。