第2回写真「1_WALL」グランプリ受賞者個展
ガーディアン・ガーデンでは、2009年に『ひとつぼ展』よりリニューアルした公募展「1_WALL」の第2回写真部門グランプリ受賞者、横田大輔による個展indicationを開催いたします。
また、個展にあわせて制作したパンフレットも会場で販売いたします。
不確かな視覚。人によって見え方、捉え方が異なる写真の数々
記憶と現在、イメージと現実が渾然一体となった空間に魅かれ、霞む視界の中で何かをつかまえようと、デジタルカメラのストロボを発光させ撮った「Fog」で見事グランプリ受賞した横田大輔。「自分の目指すものをつかまえようとしているスピード感がある」、「感性に一貫性がある」と評価されました。
今回は、人が持つ先入観によって目に映るモノの見え方、捉え方が異なることをテーマに新作「indication」を発表します。
それは、自身の日常生活での体験が大きく関わっています。他人と同じものを見ても、全く捉え方が異なることを経験した横田は、眼に映るものは同じであっても、先入観や知識によって異なって認識されることに興味を覚えます。そして、それまで眼に映るものが確かなものだという認識から、不確かなものなのではないかという疑問が芽生え始めます。
今回、横田が見せてくれる写真の中には、何ものかが潜んでいるような森の光景であったり、惑星探査機が見せてくれるどこかの惑星のような風景であったり、いつか夢で見たような、あるいは、記憶の中に霞んだイメージのようなものがあったりします。一枚一枚の写真が見る人によって様々なことを雄弁に語りかけてくれるはずです。横田が創り出す虚実ない交ぜの世界を是非お楽しみに下さい。
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展示によせて
以前、電車に乗っていたときの事。
僕の向かいの席には年齢のはなれた男女が隣り合って座っていた。
僕は二人の男女がいる事には気づいていたが特に気にもとめずに座っていた。それとは対照的に、一緒にいた僕の友人はいつから違和感に気づいたのかは正確には分からないが、早い段階から疑いを持って二人を観察していた。この時僕はその二人を兄妹と決め込んでいた。後になって事実を知ってから思い返せば、その二人の関係のおかしな所をしっかり見ていたはずだった。でもおかしいとは思わなかった。兄妹だろうという思い込みにそのおかしな点を隠し見えなくしていた。
横田大輔
審査員より
横田君の作品は動画映像の中から選び取られた断片の様だ。自分の世界をざっくりとデジカメで捕獲し持ち帰る。そこから一枚を選び取る。ヴィデオ作品ならばそこに流れる全ての時間につきあうことになるが、1枚だけ選び出された写真は、「選択」という優位性を帯びるために、見る側に意味を意識させる。現代の映像経験の豊富さが撮影時の振る舞いを容易に類推させるが、横田君は撮影と選択という問題に自覚的だ。期待の人だと思う。
鈴木理策(写真家)
第2回写真「1_WALL」展
2010年3月23日(火)~4月15日(木)開催
公開最終審査会 2010年3月26日(金)
以下の審査員により、横田大輔さんがグランプリに選出されました。
[審査員]
菊地敦己(アートディレクター)
鈴木理策(写真家)
竹内万里子(写真評論家)
野口里佳(写真作家)
町口覚(アートディレクター)
※五十音順・敬称略
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