1.
本田犬友 Inutomo Honda
『プラスチックの桃源郷』
2004年6月7日(月)〜6月12日(土)
明るく楽しく、全ての人が等しく幸福。我々はそんな理想郷を求め、家や公園や駅やショッピングセンターを作った。 しかし、そのどれもにも情味がない。全て人間が作ったものなのに人間がこもらない。人もそうだ。この理想郷の住人は決して隣人と目を合わせようとしない。寒々しい光景。孤独でネクラだ。 そんな中で私たちの有機的な部分がどんどんと希薄になる。周りの人間がとてつもなく無機質に感じる。この、定規とブルドーザーで作った理想郷はまるでプラスチックの模型のようで体温がない。
※明るく平和な生活を目指して作られた家や公園なのに、現代を生きる人たちの無機質で寒々しい関係を一つの風景として捉えた作品。
1978年生まれ。2004年大阪芸術大学写真学科卒業。現在、スタジオ勤務。
2.
中山可奈子 Kanako Nakayama
『風街ブルース』
2004年6月14日(月)〜6月19日(土)
私は写真を撮っているとき、何の目的もなく歩き続けています。自分の興味ある場所へ行ったり、 人混みの中をフラフラ歩いていたり。その時、私は、たぶん何も考えていません。行き交う人達の表情や仕草、目の前の気になる出来事。私には何の関係もなくすごい速さで通り過ぎてしまう。 ここにある写真はその時偶然出会った、どうしようもなく撮りたくなった人、気になった瞬間、場所、現実。私にとって路上とは、素通り出来ない場所です。写真を通して、私は自分の見た世界を再認識する。
※東京や大阪など日本の街を歩き、路上で出会った人々やシーンを丹念にすくい上げたスナップ。
1983年生まれ。2004年東京ビジュアルアーツ専門学校夜間部卒業。現在、フリー。
3.
武田功 Isao Takeda
『toy city』
2004年6月21日(月)〜6月26日(土)
いつの頃からだろうか。街に色の断片が氾濫するようになったのは。無秩序に増殖するそれらは、 街の光景を安物のおもちゃへと変えていく。そこには、自己の存在を主張するための、何らかのメッセージが込められていたはずなのに、それは行き先を失い、ただ、 街を構成するパーツとして取り込まれていく。古くなったパーツは、新しいものに交換される。新しいパーツを得た街は、おもちゃとしての輝きを取り戻す。それは決して終わることなく、 延々と繰り返される。いつも新しいおもちゃを欲しがる人間の手によって。
※次々と店舗やオフィスが入れ替わり、街の風景もオモチャのパーツが交換されるよ うに変わっていく。 そんな都市の移り変わりを追った作品。
1963年生まれ。2001年、2002年imagebox東中野参加。現在、会社員。
4.
古賀絵里 Eri Koga
『浅草善哉』
2004年6月28日(月)〜7月3日(土)
浅草に惹かれ、浅草の一年間をテーマに、街で生きる人々や情景を撮影し発表した。しかし、並べられた写真をまえに、 感覚的なズレを感じていた。そんなある日、浅草で生活する二人と出会った。二人の生活や対話を通して、そのズレを解決できるのではないかと思い撮影を開始した。浅草であってそうでなくていいような二人の生活をどれだけ表現できたかわからない。ズレは埋まったのか、あるいは新たなズレが生じたのか。それは、これらの写真がまとまってみるまで待たなければならない。
※浅草に長く住んでいるある老夫婦。二人だけの静かな生活を追った作品。
1980年生まれ。2003年上智大学仏文科卒業。コルプス参加。現在、フリー。
5.
田村俊介 Shunsuke Tamura
『父さん、そのジャージ 僕のです。』
2004年7月5日(月)〜7月10日(土)
母はずいぶん前に他界。兄は沖縄。父と私は東京の郊外に二人で住んでいます。定年を迎えた父は、 会社へ通っていた生活から一変、毎日を家で過ごしています。私の高校の時の青いジャージを着て、 好きな時に起きて、好きな時に寝る。そんな父を毎日デジカメで撮るようになりました。この写真が他人にどのように感じてもらえるか正直わかりませんが、私にとっては、 とても重要な日々の記録です。これからもずっと撮り続けます。
※定年して毎日を家で過ごすようになった父の日々の記録。昨年7月から現在まで毎日撮影が続いている。
1980年生まれ。2002年日本写真芸術専門学校卒業。現在、フリー。