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公開最終審査会レポート

2019.4.12 金

4月12日(金)、今回で20回目となる写真「1_WALL」の公開最終審査会が行われました。「1_WALL」は、一次審査、二次審査を通過した6名のファイナリストが個展開催の権利をかけてプレゼンテーションを行い、その場でグランプリが決まるという、他には例のないコンペティションです。グランプリ受賞者には、個展制作費として20万円のサポートという特典付き! はたして今回は、どんなアーティストがグランプリを獲得したのでしょうか。
本レポートでは、第20回写真「1_WALL」公開最終審査会の様子をたっぷりとお伝えしていきます。ぜひ、最後までお楽しみください。

FINALISTS
石川清以子、野々山裕樹、王露、紺田達也、シャンテル・リョウ、平本成海
※プレゼンテーション順・敬称略

JUDGES
沢山遼(美術批評家)
鈴木理策(写真家)
田中義久(グラフィックデザイナー/美術家)
姫野希美(赤々舎代表取締役ディレクター)
増田玲(東京国立近代美術館主任研究員)
※五十音順・敬称略

審査会当日、多数の応募者の中から選ばれた6名のファイナリストが、ガーディアン・ガーデンに集合しました。張り詰めた空気の中で、審査員による作品チェックが行われます。続々と一般見学者たちも集まり、今回も会場はいっぱいに。ファイナリストによるプレゼンテーションを皮切りに、いよいよ審査会が始まりました。

プレゼンテーション&質疑応答

石川清以子「The Forgetting Curve

「The Forgetting Curve」とは、日本語で忘却曲線のこと。物事を覚えたら最初にガクッと忘れ、その後徐々に記憶が薄れていき、その曲線は最終的には平行に近づいていく、という話を聞き、それはある意味私が写真を撮る行為と似ていると感じたため今回のテーマにした。撮らなければ忘れてしまう出来事や情景を写真として残したことにより、忘却曲線の平行部分を作れたのではと思っている。個展では作品の点数を増やし、サイズの大きな作品も展示し、動画作品も展示したい。

Q.鈴木:今回の展示作品は、どんな基準で選んだの?
A.石川:車が写った写真は、「1_WALL」展の告知用に審査員の方が選んでくれたので。その他は、そこに偶然いたからこそ撮ることができた写真を中心に選んだ。

Q.姫野:普段、写真はどんな時に撮る? たくさん撮る方だと思う?
A.石川:普段からいつもカメラを持ち歩いていて、持ち歩いていないともったいない気分になるくらい。たくさん撮る方だと思う。

Q.田中:普段、撮りためた写真をどのように編集しているの? 作品を選ぶ基準のようなものはある?
A.石川:撮影時はあまり意識していなかったものが好き。意識せずに撮ったけど、何故か気になるようなもの。後から見返した時に、撮影した場所さえ忘れてしまっているものもある。

野々山裕樹「Sleeping land

今回の作品は、夜の東京を2年間撮影したもの。撮影のきっかけは東京の夜の明るさに違和感を感じたこと。もともと東京出身の私は、社会に出てから海外を含めて4回の引越しを経験した。2年前に東京に戻ってきた時に、他の都市に比べて東京の夜は多くの人工の光に照らされて非常に明るいことに気づき、都市に存在するものの形にも奇妙な印象を抱いたことがきっかけで撮影を始めた。場所によって微妙に異なる光と影の質感を表現するには、写真が最適な方法だと考えている。作品を通して伝えたいことは、東京という都市の形とものの配置、東京の夜の光と影の2点。今回の撮影地は江戸川区と新宿区のみだが、個展では東京都全域に範囲を広げたい。会場は、薄暗い空間にスポットで光をあてて、東京の夜をイメージした空間にしたい。

Q.沢山:写真を白黒にした理由は?
A.野々山:夜の光はいろいろな色があるが、私は光の色ではなく、形や質感に注目しているため。あえて色は統一し、形や質感が強調される手法として白黒を選んだ。

Q.姫野:点数を5点に絞ったのは、なぜ?
A.野々山:大きく引き伸ばして展示することで、鑑賞者の視点がぶれないようにしたかった。今回はスペースの制約があったため、自然と5点という枚数になった。

Q.鈴木:この光なら、白黒で印刷した時に大体このくらいのトーンになるだろうな、ということはだんだんわかってくるものなの?
A.野々山:わかることもあるが、撮影をする時は仕事を終えた後で、いつも頭が空っぽな状態。最初からアウトプットを想像して撮影している訳ではなく、街を歩いて、自分の中で何か気づきがあった時に撮るようにしている。

王露「The glitched

私が生まれた場所は中国の小さな町で、東京の街並みとは全く違っている。東京の建物はどれも似ているので時々道に迷うことがあって、そんな時、普段見慣れている日常的な風景全てが、東京のシンボルとして都市のイメージを作り上げていると感じる。この作品は、東京に来たばかりの頃、新鮮な気持ちで街を歩くと、ありふれた街並みの中に非日常的な違和感を感じる瞬間があることに気づき撮影し始めた。作品を通して、普段の生活の中で気づかないところに、独特で面白い光景が存在していることを伝えたい。

Q.沢山:壁の前にある、カーテンはどういう意味なの?
A.王:カーテンは家の中が見えないように室内にあるものなのに、それが外にあることに違和感を感じた。この展示でも、その時に私が感じた違和感を再現したかった。

Q.増田:以前、大学のグループ展でこの作品を展示していたと思うが、そこから変えたものはある?
A.王:大学のグループ展では写真1枚1枚を見せるような展示をしたが、今回はスペースの制限もあるため、1枚1枚を見せるというよりも、組み合わせを意識して全体を見せる展示を行った。

Q.鈴木:自分の作品と比べて、石川さんの作品に対してどう感じた?
A.王:二人とも街中の写真を縦位置で配置しているが、意図が違う。石川さんはもともと日本に住んでいて、撮影する時の記憶や気分が写真に残っていると思う。私は外国人としての目線で、街中で感じる新鮮感を大切にしている。

紺田達也「if god

神という存在を知りたい、そんな思いから撮影を始めた。撮影地は、長崎県の生月島。ここでは現在も隠れキリシタン信仰を続けている人がいて、その人たちを僕は2013年から撮り続けてきた。彼らと話をする中で、信仰を自分の代で終わらせようと考えている人たちが増えていることを知った。今回の作品は、隠れキリシタンの洗礼などの儀式を行うおじい役の男性を中心に構成した。おじい役の後継者はまだ決まっておらず、それは存在が揺らいでいる隠れキリシタン信仰そのもののよう。個展では、現在も信仰を続けている人、信仰をやめてしまった人、どちらのポートレートも展示し、仏教と彼らの関係性も展示に加えることで、おじい役の男性の目線だけでなく、自分が見た隠れキリシタンの姿を表現したい。

Q.田中:ポートフォリオと展示作品では、違う印象を受けた。あれだけ枚数があった中で、この11点に絞ったのはなぜ?
A.紺田:撮影を進めていても、このおじい役の男性がどのように島の現状を考えているのかがわからず、鑑賞者もそれを一緒に考えてほしいと思ったので、この男性の目線を追うような作品を中心に選んだ。

Q.沢山:個展をやる場合、写真の他にテキストは添えるの?
A.紺田:テキストを添える予定はもともとなかったが、この作品を見せるだけでは伝わらない、わかりにくいところがあるので、あってもいいのかもしれない。

Q.増田:作品を見ると十字架があるわけではないし、何らかの信仰を巡る写真であるということがわかりにくく感じる。あえて明解な写真を省いた意図は?
A.紺田:展示作品を見て、その後にポートフォリオを見てもらい、さらにその後に展示を見ることで理解してもらいたいと思ったので、あえて分かりやすいイメージの写真は省いた。

シャンテル・リョウ「人間_性」

ベルリンで、人が縛られている姿を見たことから何かを考え始め、撮影を始めてもうすぐ4年になる。ある程度の制限があるからこそ成立するのが人間の自由。形のあるものでも、目に見えないルールでも、どこまで縛られると自由が生まれるのか。その境界線は曖昧な上、時間や場所によって異なるもの。自分が感じたことが多くの人にとっての当たり前ではない、という感覚を持っている彼らの考えは、私にとって写真との出会いそのものだった。今回の展示で写し、また隠しているのは体の一部ではなく、誰かにとっての真実の一部だ。個展でも今回のように写真を天井から吊るし、それを会場いっぱいに広げることで、鑑賞者にも写真の中に混じってもらい、脆く不安定なものにどう接するのかを考えて欲しい。

Q.鈴木:乳首の上に星のシールが貼られている写真があるが、これは意図的に貼ったの?
A.シャンテル:自制です。公共の場では何かを隠さないといけない事実を、この機会に見てもらえればと思っている。

Q.沢山:緊縛、ロープと来て、展示作品自体も糸で天井から吊っている。これらはリンクしているの?
A.シャンテル:あまり関係ないが、不安定な感じは出したいと思ったので、この展示方法になった。

Q.田中:テーマと展示の方法は深く関係していると思っていた。よく見ると水平に展示できていないようだが、これも不安定さを表現しているの?
A.シャンテル:水平にならなかったのは時間もなく、技術的に難しかったから。本当は、時間があればきちんとまっすぐに展示したかった。

平本成海「H30N

今回の作品は具体的なテーマを設けず、毎日の制作を自然な形で展示に落とし込みたいと考えた。中央の木製パネルは、一般的な新聞の見開きを2枚並べたサイズ。このパネルには、展示初日以降に制作した作品も不定期で追加している。中央のテーブルはそのための作業台で、普段自分の部屋で使用しているもの。キャプションは新聞記事をイメージした架空のテキストで、展示告知のチラシにも掲載した作品から着想を得て制作した。個展では、テキストと写真の関係性を掘り下げて展示をしたい。個展まではまだ時間があるので、もっと面白いことが思いつきそう。

Q.鈴木:木製パネルの下の、日付が書いてある小さな写真は何?
A.平本:作品を追加した日に記録として撮影し、次に会場に来る時に貼っている。最初は毎日会場に来て作品を追加することも考えたが、部屋で制作しているイメージが薄れてしまうため、不定期に追加することにした。

Q.姫野:壁の左側にある一番サイズの大きい作品はラフな印象だが、それ以外の写真はまた違った印象を受ける。素材や大きさ、切り取り方など、表現方法がさまざまなのはなぜ?
A.平本:ミリ単位で整理された展示か、ラフな展示か、どちらかにしたいと当初は考えていたが、どちらも両立できたら面白いのではと思い、プランを練っていくうちに作品によって展示方法がさまざまになった。

Q.沢山:展示作品のイメージがほとんど女性。それは意図したものなの?
A.平本:意図的に女性のイメージを使っている訳ではなく、毎日新聞の中から素材を探す時に、このイメージならこんな作品になるなという感覚をもとに選んでいる結果。後からバランスをみて男性のイメージを取り入れることはしたくない。

 

 

講評&審議

石川清以子「The Forgetting Curve」について

鈴木「写真の選び方や展示方法などを考えていない感じが逆に面白かった」

沢山「写真に撮らないと消えてしまう、見過ごされてしまうものがあると話していて、そういう意味ではどんな写真をとるべきなのか、ちゃんと判断基準がある人だと思う。国籍や生活感が脱落し、浮遊感を感じられる作品」

田中「見ていて気持ちの良い作品だった。背伸びしていなくて感覚的で、作品同士をつなぐ関係性の遊び方や、記憶から作品を引き出してくる面白さがあり、リズミカルにつくられている。それが良いと思う人がいる反面で、良いと感じない人もいるかもしれないが」

姫野「風景や物事の一番盛り上がっているピークのところを捉えた写真ではないが、そういったところが抜け落ちている感覚が良い」

増田「面白いのは、二次審査を終えた後に審査員が選んだ告知用の写真を中心に展示を構成したところ。それは、作品のテーマとも重なっていて、一貫性がある。彼女は自分の中にあるものを表現しようとするよりは、自分と世界との関わりの中で写真として残ったものを集めて、その中からイメージを選びとっている。その行為が作品制作から展示構成まで一貫していて興味深い」

野々山裕樹「Sleeping land」について

鈴木「バランスが良く、収まりも良い。そこに物足りなさを感じた。夜がどんどん更けていくような、終わらない感じが見たかった。夜景の写真は誰が撮っても絵になると言われることがあるが、彼の作品には自身の経験が反映されていて、そこは好感が持てた」

沢山「明るい夜を撮ること、つまり、昼と夜の交錯があるという意味でフランソワ・トリュフォーの映画のタイトルにもなった「アメリカの夜」という夜間のシーンを日中に撮影する手法を想起させる。そのため、写真からは現実感が抜け落ちていて、亡霊が徘徊しているよう。虚構感が出ていて、映画のセットのようだ」

田中「ポートフォリオを見たときはしっくりきていなかったが、展示作品が5点に絞られたことで1枚ずつじっくりと見ることができ、都市の疲労感や、人工と自然の関係性が見えてきた」

姫野「ポートフォリオとは違う印象。浮遊感があり、不思議と迫ってくる感じがある。ポートフォリオでは枚数が増えると似通ってくる印象を受けたので、個展でどのような印象になるのかが気になる」

増田「数ある写真の中から5点に絞ったことで、全く違う印象に。奇妙すぎないけれど、でも、どこか気になるようなものをきちんと選んでいて、ポートフォリオよりも視点が整理されている」

王露「The glitched」について

沢山「プレゼンを聞いていると、彼女は実は6人の中で一番コンセプチュアルなのでは。外にあるはずのないカーテンや、本来そこには生えない大きさで植わってる巨大な木など、なんとなく気になるから撮っているのではなく、その基準には明確な理由がある」

姫野「1点1点、説得力がある。構造的な強さは彼女の特色であり、特徴なんだろう。構造が明快で際立っている分、抵抗感を感じるところもある」

増田「1枚1枚の写真だけではテーマはわかりにくいが、今回の作品はそれぞれの写真が対になっている。それぞれの対の写真を見ていくと、自然と人工という大きな対になるテーマがあるようだ。見つける力、撮る力、それらにテーマを持たせて構成する力がバランスよくあるように思う」

田中「よく考えられている展示。なぜこの写真を撮っているのかが、展示によく表れていると感じた。ただ同時に、これを写真以外で表現することもできるのか、構造の力以外にこの作品が持つものは何だろう、ということを考えてしまった」

鈴木「自分自身がよく見えているし、展示も見応えがある。彼女は確信犯的なところがある」

紺田達也「if godについて

増田「二次審査の時点では、6人の中で一番時間をかけているし、きちんとテーマもあり、厚みのある仕事に好感を持っていた。だが、展示作品は少し物足りない印象。ただ、力作であることは間違いないだろう」

田中「ポートフォリオの時は、引き込まれるような魅力があった。写真集や本にまとめた方が良いのかもしれない」

沢山「二次審査の時に、一番心を打たれた作品。展示作品には物足りなさもあったので、もっとたくさん見たい。プレゼンの説明を聞いてもある種の割り切れなさを感じたが、それは隠れキリシタンの人たちと彼の置かれている状況がシンクロしているのだろう。割り切れなさが写真に写っていて、そこが魅力でもある」

姫野「展示は、彼なりにいろいろと考えた挙句、それが裏目に出てしまったのかもしれない。ただのドキュメンタリーではなく、分からないからこそ撮り続けてきた厚みがポートフォリオにはあった」

鈴木「彼の視点の他に、カメラという機械が写し取る、誰のものでもない視点が効果的に表れている。それが隠れキリシタンの存在と重なり、彼の作品の魅力になっている。ただ、それが展示だとわかりにくい。テーマ自体は面白いし、ポートフォリオも良かった」

シャンテル・リョウ「人間_性」について

沢山「緊縛という本来拘束される行為が、同時に、社会的、性的などの拘束への抵抗にもなる、ということを示した写真。縛られている身体を晒すことで、社会的な束縛にどう抵抗するかという、単なる性的な趣向ではない踏み込んだ考え方をしていて、そこに可能性を感じる」

姫野「共感を持って見ている作品。何かを表し、何かを隠す。それが彼女の考え方に直結しているようだ。個展のプランもシンプルではあるが、明確で面白い」

増田「ポートフォリオとは違う印象を受けた。彼女のテーマと展示の方法はマッチしているし、日本の緊縛写真とは全く違うものが表れている。展示としては魅力があるし、個展プランにも興味がある」

鈴木「シャッターを押した時を想像して、彼女は写真に自信があるように感じた。ポートフォリオの時にはわかりにくかったテーマがわかりやすくなっていて、ギャップが面白いと感じた。彼女の考え方の強さは表現として大切だし、説得力があった」

田中「体の一部にシールを貼らなくてはいけなくなっても、それをうまく取り込みながらメッセージ性の高い作品を作り上げている。ポートフォリオの時よりもすごく良い」

平本成海「H30Nについて

鈴木「作品を作る時は、どこまでやるか、どこが完成なのかを考えるのが普通だと思うが、彼の作品はそのプロセスを見せることである種のライブ性を表現している。その一方で、収まりの良いゴールが見えてきていて、欲張ってしまったのかなと」

増田「パッと見た時に、非常に完成度が高いなと感じた。隙がない。仮に見つけたとしても、それは仕掛けなんじゃないかと思わせてくれる。面白くて魅力的」

田中「個展を見てみたい、と一番思える人。家にこもって作業をしているだけあって、いろいろな手法にチャレンジできている。ただ、フレームの使い方や写真の大きさを見ていると、前回の作品と比べると完成度は追いついていない印象だ」

姫野「前回の作品の印象が強かったが、今回はまた違った印象を受けた。一つの新聞記事からイメージが転がっていくような感覚があり面白い」

沢山「さまざまなサイズの画像があるが、小さな画像もよく見れば、大きな画像とくらべてイメージの密度、面白さに遜色がないことがわかる。見ればみるほど面白い。女性のイメージを傷つけているように捉えかねない写真もあるが、彼の場合は嫌な感じがしない」

こうして、審査員による講評タイムが終了。いよいよ投票へと移ります。審査員の方には、良いと思ったファイナリストを2名ずつ選んでいただくことになりました。

投票結果

沢山:王・紺田
鈴木:シャンテル・平本
田中:野々山・平本
姫野:紺田・シャンテル
増田:石川・平本

集計すると、平本3票/紺田2票/シャンテル2票/石川1票/野々山1票/王1票という結果になりました。全員に票が入りましたが、2票以上獲得した平本さん、紺田さん、シャンテルさんからグランプリを選ぶことに。
そこで、3名の中からグランプリを選ぶための投票をする前に、票を入れたファイナリストの作品に対して、それぞれ評価するポイントや個展に期待するところなど、改めてひと言ずつ語っていただきました。

紺田達也「if god」について

姫野「作品として魅力がある。まなざしのあり方も面白いし、可能性を感じた。今後を見てみたい」

沢山「写真というメディアに対する自覚とテーマに必然性があり、魅力を感じている。斜に構えていない、ある種の素直さを持って取り組んでいる作家として評価している」

シャンテル・リョウ「人間_性」について

鈴木「ポートフォリオと展示を見た時のギャップが面白かったので。個展を開催して、もう一度驚かせてほしい」

姫野「性のことだけでない、彼女が抱いている問題意識を強く感じ、いいなと思った」

平本成海「H30N」について

田中「自分の家の中から世界を見るという姿勢に魅力を感じているし、それをどう表現していくかという部分に余白や可能性がまだある気がするので」

増田「この会場全体を使って展示したらどうなるんだろう、という興味があったので」

鈴木「個展をやったらどうなるんだろう、という期待があったので推した」

 

票を投じたファイナリストに対して、それぞれ審査員から思いを語っていただいたところで、最後にもう一度投票をすることになりました。結果は、平本3票/紺田2票/シャンテル0票という結果に。最後まで票が分かれたものの、3票を獲得した平本さんが第20回写真「1_WALL」のグランプリに決定です! 平本さん、おめでとうございます!

平本さんの個展は、約1年後にガーディアン・ガーデンで開催される予定です。ぜひ、ご期待ください。

出品者インタビュー

平本成海さん グランプリ決定!
作品を作ることに一生懸命だったので、まだ実感が湧きません。前回同様、スタッフの方にはお世話になり、おかげで良い展示をすることができたように思います。個展ではこの「1_WALL」展の6倍の面積を使えるとなると、単純に6倍大変な作業になりますが、その分面白い展示になるんじゃないかと思っています。みなさんの期待に応えられるよう頑張ります。

石川清以子さん
「1_WALL」展の前身であるひとつぼ展に応募したことがあり、最近になって偶然この展示を見た時、また違った印象を受けたのが、応募のきっかけです。まずはグループ展ができたことが良かった。自分の作品について考えさせられる特別な機会を与えてもらいました。

野々山裕樹さん
悔しい結果になったが、今後また努力して作品作りを続けていきたいと思った。審査員の方のアドバイスや評価はすごく参考になったので、それらをうまく生かして、今後も努力していきたい。

王露さん
自分の作品をこうして大勢の人に見せることができて、嬉しい。審査員の方から直接アドバイスや意見ももらえてすごく良い機会になった。自信を持って見せられる作品ができたら、また「1_WALL」に挑戦したい。

紺田達也さん
言わなくてもわかってくれるだろう、と思っていたところを、言わないとわからないと指摘してもらえて新鮮だった。目の前で自分の作品について議論されているところを見る機会はなかなかないので、良い経験になった。「1_WALL」のファイナリストになることが一つの目標だったので、次はグランプリを目指して頑張りたい。

シャンテル・リョウさん
「1_WALL」に応募したのはこれが2回目。前回はファイナリストになれなかったので、こうしてみなさんと一緒に展示をできたことがまず嬉しい。展示の際に制限はあったものの、それもまた良い経験になった。