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公開最終審査会レポート

2016.5.17.火

5月17日(火)、14回目となる写真「1_WALL」の公開最終審査会が、ガーディアン・ガーデンで行われました。「1_WALL」の公開最終審査会は、一次審査、二次審査を通過したファイナリストが個展開催の権利をかけて思い思いにプレゼンテーションを行い、それに対して審査員の方々が直接意見や感想を述べ合い、その場でグランプリを決めるオープンな審査会。これまでにも、第一線で活躍する審査員の方々の審査を経て、数多くの若手作家を発掘しています。はたして今回は、どんな作家や作品に出会えるのでしょうか。
第14回写真「1_WALL」公開最終審査会の様子をお届けします。

FINALISTS
馬込将充さん 佐藤麻優子さん 稲川有紀さん 光岡幸一さん 小野峰靖さん 林大鉉さん ※プレゼンテーション順

JUDGES
飯沢耕太郎さん(写真評論家) 菊地敦己さん(アートディレクター) 鷹野隆大さん(写真家) 高橋朗さん(PGIギャラリーディレクター) 百々新さん(写真家) ※五十音順

進行
菅沼比呂志(ガーディアン・ガーデン プランニングディレクター)

5月17日(火)、6名のファイナリストが、ガーディアン・ガーデンに集まりました。まずは、展示された作品を審査員の方々が、真剣な眼差しで一点一点チェック。ギャラリー内には、ピンと張り詰めた空気が漂います。作品審査が終わると、いよいよファイナリストのプレゼンテーションへ……。
第14回写真「1_WALL」公開最終審査会が、スタートしました。

プレゼンテーション&質疑応答

馬込将充「月で会いましょう」

現実と幻想に振り回されながら生きている自分や、周りの同世代の人についての作品をつくりました。僕は、この世界はつまらないし、何もない世界だと思っています。それでも、なぜ写真を撮るのかというと、写真は、世界を自分の見たいように自由に変えることができるから。一年後の個展でも、自分の見たい世界を写真の中で表現したいです。

Q.菅沼:展示作品の構成について教えてくれる?
A.馬込:壁の左下にある写真は、現実であり、僕にとってはつまらない世界。右上の写真は、幻想であり、僕が見たい世界を表現しています。
Q.百々:「月で会いましょう」というタイトルの意味は?
A.馬込:突拍子のない約束をイメージしました。でも、月に降り立つという夢のようなことを実現させてきたのが、人間です。だから、夢のような出来事でもいつかは実現できるというメッセージも含めてこのタイトルにしました。
Q.高橋:現実を自分が見たいように変えられたとしても、それは写真の中だけ。それについてはどう思う?
A.馬込:たとえ写真の中だけだとしても、見たい世界はつくることができる。それをつくりたいという欲があるからこそ、僕は写真をやり続けられるのであって、自分にとって必要なことだと思っています。

佐藤麻優子「ただただ」

テーマは、今現在の23歳の私が感じているものや、感覚です。私は今、人生に焦りを感じています。何もしなくても、何の結果も出せなくても、一年一年は過ぎていく。誰もが写真を手軽に撮ることのできるこんな時代だからこそ、私が負けない部分は何だろうと考えて、今のリアルな自分自身の感覚を写真で表現しました。

Q.飯沢:写真の中のモデルが、この現実世界から数センチずれているような印象で、存在感がある。写真を撮る時に、彼女にはどんな指導をしたの?
A.佐藤:初めに、自分がどんなことを考えているのかなどを文章で書いたものを、彼女に見せました。そして、絵コンテも描いて、ポーズなどを指示しました。
Q.菊地:今回の展示には、満足している?
A.佐藤:普段、私は特徴のない生活をしていて、展示も特徴のないものにしたいと思っていました。そこはできたかなと自分では思っているので、反省点はあるけれど、満足しています。
Q.鷹野:個展は、具体的にどんなテーマを扱うの?
A.佐藤:やってみたいことがたくさんあります。例えば自分の中に、男尊女卑の逆である「女尊男卑」の感覚があります。それをテーマにしたいなと考えています。

稲川有紀「STAND HERE」

人は、関わる人やものなど周囲の環境によって、自己が形成されていく。だから、誰かに忘れ去られたり、周りに存在を認知してもらえないと、自分の存在が薄れて風景の一部に溶け込んでいくような気になります。それでも、そこには存在自体から発せられる気配は必ずあり、そういった存在の痕跡のようなものを、写真で残したいと思いました。写真には人を救う力が確かにあります。個展では、川の写真を中心にしながら、人物の写真も合わせて構成していきたいと思っています。

Q.飯沢:写真を撮り始めるようになった経緯について、教えてくれる?
A.稲川:最初は、映画を撮りたくて大学で学んでいたのだけれど、映画はシナリオ通りに進めていかなければいけないもの。そこに違和感を感じていたんです。それに対して写真は、偶然性があるもの。そこに惹かれて、写真を撮り始めました。
Q.高橋:その偶然性とは、どういうことを意味しているの?
A.稲川:写真を撮る時に、これはきっといい写真になるなと予想できる被写体もあれば、撮る時にはそうでもないと思っていた被写体が、写真としてできあがった時にいい作品になることがあって、それを偶然性と呼んでいます。
Q.百々:写真の中の人物の目線を外している意図は?
A.稲川:人物写真は力が強いので、作品を観る人と目が合ってしまうと、その人物の個性をより強く感じてしまう。そうすると、風景写真と一緒には並べられないかなと思ったからです。

光岡幸一「たしかなものたちへ」

僕は、写真を撮る場所の歴史や情報をリサーチしたり、動き回ったりしながら撮影するので、一枚を撮り終えるのに時間がかかります。そんな中で、いい写真が撮れたなと思うのは、力のある写真が撮れた時。今回は、そんな強い作品を展示しました。個展でも、自分を見返してくるような力強い写真を、展示したい。自分ではコントロールできないシチュエーションに出会った時に、どうなるのかを味わいたいです。

Q.菅沼:個展プランを詳しく教えてくれる?
A.光岡:最近友人に子どもが産まれて、その友人と子どもが並んでいると、子どもが2人並んでいるように見えました。誰の中にも見えない子どもがいる。その見えない子どもたちを、写真で引き出せたら、おもしろいかなと思っています。
Q.飯沢:ポートフォリオの作品は、写真の上にペイントを施していたり、文章を入れていたりしたが、なぜ今回はそれをやらなかったの?
A.光岡:写真は絵や文章と違い、何もかもを簡単に写してしまうところが嫌でしたが、写真には見返してくる力があるということに気づいてから、そのよさがわかったんです。写真には、絵や文章を超えるものがある。だから、今回は写真だけで勝負しようと思いました。
Q.菊地:写真や絵をいいと思う感覚は、どういうものなの?
A.光岡:写真と絵それぞれいいと思う感覚は少し違いますが、写真は見返してくる力があるのが好きで、写真ではないとわからないことがあると思います。言葉にはまだできていませんが、写真だけが自分にわからせてくれることがあり、絵でも質は違うけれども同じことが言えると思っています。

小野峰靖「忘失」

私が住む街には、フタバアパートという廃アパートがあります。そこで、アパートの三部屋を借りて写真を一枚ずつ展示し、個展を開きました。写真が忘失のメディアになるかどうかを知りたかったからです。今回は、その個展で展示した、アパートの部屋の窓を撮った写真。窓から毎日のように見える飛行機雲を撮った写真。その写真をアパートの室内の壁に貼り、さらに撮影した写真。それら三点を展示しました。

Q.鷹野:個展は、どんなプランを考えているの?
A.小野:ゴミ処理場に写真を設置して、撮り続けるということをやってみたい。また、そこで撮った写真フィルムのコマを並べたものを展示したいとも考えています。
Q.菊地:写真をピンで留めている箇所と留めていない箇所があるのは、なぜ?
A.小野:意図的に留めたり留めなかったりしたわけではなく、最初は全て留めていました。それが自然と取れ、紙がよれて、自分ではコントロールできない状態になりました。でも、それも全て受け入れています。
Q.高橋:自分ではコントロールできない状態を受け入れているというが、あえて忘失しやすい素材を選んだの?
A.小野:はい。額に入れたりすれば、紙がよれて劣化することもないですが、今回のテーマに合わせて、あえてそういった素材を選びました。

林大鉉「写真あるいは困難な存在のために」

私と写真の関係性は、撮影する行為で成り立っています。この世界を、言葉なしで写真として存在させているにも関わらず、観る方に意図を伝えるためには、言葉が必要です。写真と言葉の関係や、写真の持つ性質の曖昧さを明確にして、写真とは何かを追求する展示にしました。個展では、自分、写真、過去をテーマに展示したい。

Q.菅沼:壁に展示された写真と、床に置かれたディスプレイに映し出される写真は同じ作品だが、関係性は?
A.林:写真に言葉を入れ、ディスプレイではそれを次々と流して動画に。壁には、同じ写真をばらばらに貼り、ストーリーがわからなくなったとき、観る人が写真の意図をどう読み取るのかを知ろうと思いました。
Q.百々:今回の展示は、うまくいったと思う?
A.林:観る人にとっては、よくわからないものになってしまったかもしないが、僕にとってはこれが正解。うまくいったなと思っています。
Q.高橋:写真はそれぞれいいのだが、壁と動画の写真は違うものを展示した方がよかったのでは?
A.林:同じ写真を、あえて違うスタイルでどちらも展示するところに意味があると思っています。なので、一枚一枚の写真のサイズも同じにしました。

ファイナリスト6人のプレゼンテーションと質疑応答の時間が終わり、審査員のみなさんによるグランプリ決定のための審議へ移ります。

まずは、今回の「1_WALL」に対しての感想を、審査員一人ひとりが発表しました。

今回の「WALL」について

百々「写真作品は撮るだけではなくて、撮った後にどうするのかまでを考えることが大事。今回のファイナリストは、展示するということまできちんと考えている印象を受けた。」

高橋「最初にギャラリーに入ってきた時に、今回の展示作品は元気がないなと思った。一つひとつ丁寧に見てしっかり話を聞くと、いろいろな意味でそれが納得できた。」

飯沢「おもしろい展示だった。撮影する過程でいろいろなことを考え、写真を撮ることで気づきを得て、きちんと写真というものと向き合っている人が多かった。」

菊地「それぞれに問題提起があるし、話を聞けば腑に落ちる。どの作品も興味深い。でも、世界一を目指そうという思いを持っている人はいない印象を受けた。もう少し欲張ってもいいのかもしれない。」

鷹野「たしかにみんな、正解や正しさみたいなものを追求している印象を受ける。しかしそれは今の社会を反映しているようで、おもしろい。」

続いて、ファイナリスト一人ひとりの作品について、感想を発表しました。

馬込将充「月で会いましょう」について

高橋「非常にいい作品だが、ナイーブすぎる作品だとも思った。彼のナイーブすぎる感情や思いを、どう評価していいのかわからない。」

菊地「写真はすごくいい。でも、構造がつまらないかな。ちょっとまじめすぎる印象があるので、今後に期待したい。」

飯沢「このような作品は、これまでの時代にもあった。構造にこだわらずにもっといろいろやってみてもいいかも。そうして自分のスタイルを作っていってほしい。力はある。」

百々「透明感があるし、写真との距離感も独特なものがあって好感が持てるが、希望の持てない現実を見せる必要があるのかどうか。現実に違和感を抱いている感情は、誰にでもあるもの。それをどう表現していくかを、もっと追求していってほしい。」

鷹野「彼が語っていることと作品との間には、ずれを感じる。もう少し自分の感情や思いに素直になって作品をつくっていった方がいいのではないか。」

佐藤麻優子「ただただ」について

百々「最初に展示を見た時は、正直ピンと来なかったが、絵コンテを描いて撮影に挑むという話を聞き、違うものに見えてきた。写真が、現実や嫌なことに対するはけ口になっている印象も。」

飯沢「僕は、けっこう好きな作品。彼女の閉塞感みたいなものがうまく表現できていると思う。ユニークな作家になりそうだが、菊地さんが言うような世界一になれる作家ではないかもしれない。」

高橋「モデルさんとの関係がうまくいっているようなので、そこをうまくやれば世界一も目指せるかもしれない。でも、まだ才能というよりは天然でやっている部分があるようだ。」

鷹野「作品には脱力系の面白さがあるのに、展示がまじめすぎる。観る人に伝えるという点では、まだまだ足りないところがある印象だ。あと、このモデルさん以外を撮ったらどうなるのかが、やや気掛かり。」

菊地「ポートフォリオ審査の段階では、僕の中でダントツの評価だった。でも、展示はあまりよくない。もっと勉強して、自分なりの展示方法を学んでほしい。」

稲川有紀「STAND HERE」について

鷹野「全体に写真の力を感じさせる作品だ。例えば、右から二番目にある、半開きになった門の写真は、圧倒的な強さを持っている。特に何ていうことのない光景なのに、これはすごいことだと思う。」

飯沢「久しぶりに、被写体の強さではなく、写真の強さで勝負している人に出会った。そういう人がいて、うれしい。ただ、ポートフォリオとの色合いのギャップを感じた。プレゼンテーションは、とてもよかった。」

菊地「好きな作品だ。我々の意見には耳を貸さなくていいから、淡々と精度を上げていってほしい。このセンスは、なかなか身につけられるものではない。」

百々「元々、自分が持っている資質や才能をきちんと表現するための方法を知っている人だ。ただ、ポートフォリオとの色合いのギャップが気になる。」

高橋「写真から発せられる気配や意識とは何なのかが、私にはわからない。ただ、彼女自身もそこをきちんと理解していないから、ポートフォリオとのギャップが生まれてしまうのではないだろうか。」

光岡幸一「たしかなものたちへ」について

百々「彼は前回もファイナリストで、その時から成長していると思う。パワーもあっておもしろいが、展示の仕方をこれで納得しているところに不満を感じる。だが、この荒っぽさが彼のよさの一つなのかもしれない。」

菊地「品格がない印象。でも、それが彼のある種のよさでもある。写真に奥行きがなくべったりとした印象もあるので、暴力性を感じる。それを良しとするかどうかで、彼の評価は変わってくるだろう。」

飯沢「菊地さんの言う通りで、ポジティブに捉えると、写真ときちんと向き合おうとする決意表明に見える。前回は不安定な印象を受けたが、今回の6人のうち、一番可能性を感じている。彼のスタイルができあがってきたという感じだ。」

高橋「彼の場合、成長しているのだが、成長という言葉よりも拡張といった印象を抱いた。写真で自分の思いを表現するにはどうすればいいのかがわかってきたのだと思う。」

鷹野「成長でもあるし、脱皮と言えるのかもしれない。ポートフォリオでは文章もあるが、彼は小説家的な才能もあるような感じがした。とてもおもしろい。」

小野峰靖「忘失」について

飯沢「廃アパートの写真を撮り、そこに展示をするというアイデアがおもしろい。ただ、まだこのアパートの全てを表現しきれていないのかも。今後も、このアパートにこだわって制作を続けていってもいいのでは。」

百々「彼の行為はおもしろいが、タイトルの忘失という言葉のイメージに引っ張られすぎているようだ。」

高橋「展示作品は、すごくいい。ただ、写真を撮るという行為までなのか、アパートで個展をやったことまでなのか、どこまでが作品なのかわからなくなってしまったのが、残念。」

鷹野「展示がおもしろい。テーマは、このアパートを撮ることで後から思いついたもののように思えるので、忘失にはこだわらなくてもいいのかもしれない。実力はある。」

菊地「ポートフォリオも展示作品もいいが、タイトルがよくない。アパートだけではなく、同じシリーズで他の場所を撮ってもいいかもしれない。そうすることで、より彼のテーマがはっきりしてくるのではないか。」

林大鉉「写真あるいは困難な存在のために」について

鷹野「写真で物語るという点で、非常におもしろい、スリリングな作品だ。ただ、写真自体には古典的な印象を受けるので、そこに対してもう少しチャレンジしていってほしい。」

百々「頭の中でイメージしているものを、実現できる力が彼にはある。ただ、小さくまとまってしまっている印象も受けるので、それを壊していってほしい。」

菊地「基本的に、おもしろい作品だった。でも、展示が説明的になってしまうところがよくない。壁に貼った写真と動画の写真は、別のものにするべきだ。」

高橋「今回の展示はこれがベストだったのかどうか。ただ、彼の個展は気になる。失敗するかもしれないし、うまくいくかもしれない。」

飯沢「写真論を語るような写真を発表した人は、これまでも多くいた。ただ、言葉との関係性を追求していった人はあまりいない。その辺りをもう少し追い求めていくことに、価値がある。彼独自の写真論を展開していってほしい。」

審査員の方から、ファイナリストや作品に対するさまざまな意見や感想が飛び出しました。ここからは、いよいよ投票へ。まずは、6人のファイナリストからグランプリ候補となる2人を選んでもらいました。

投票結果

百々:林・光岡
高橋:林・光岡
飯沢:光岡・佐藤
菊地:佐藤・小野
鷹野:稲川・小野

集計すると、光岡 3票/林 2票/小野 2票/佐藤 2票/稲川 1票という結果になりました。ここで、上位4名に名前が挙がった光岡さん、林さん、小野さん、佐藤さんの中から一人を選んでもらうことに。選ぶ前に、それぞれに投票した理由を、応援の意味を込めて語っていただきます。

佐藤さんについて

飯沢「リアリティーのある作品だ。彼女ならではの切り口で、この先もやっていってくれそう。」

菊地「写真を撮りながら、一つずつ何かを発見していっているようだ。才能がある。」

光岡さんについて

飯沢「可能性を感じた。観ていて、わくわくさせられた作品だ。」

高橋「みなさんが不安に思っているものは、彼らしさの一つ。評価している。」

百々「6人の中で、一番エネルギーを感じた。個展に期待したい。」

小野さんについて

菊地「品格がある。非常にクレバーなので、彼にいい作品がつくれないわけがない。」

鷹野「確かに、品格がある。センスもいい。今後も伸びていきそうだ。」

林さんについて

高橋「70年代のコンセプチュアル・フォトの影響を受けているようだが、2016年の今、彼なら実験的な作品をつくれそうなので、期待している。」

百々「一枚ずつの写真に力がある。この枚数でこのクオリティーを実現できているのは、すごいことだ。」

さまざまな意見を聞きながら、審査員の方々はファイナリストの中から1人に絞ります。はたして、4人のうち誰がグランプリになるのでしょうか。二回目の投票が行われました。

二回目の投票結果

佐藤 3票/林 1票/光岡 1票

最後まで票が割れるものの3票を獲得して、佐藤さんがトップに躍り出ました。投票の結果に審査員の方からは、おおっという声が……。そして、「みなさん、よろしいですか?」という菅沼の声に、審査員の方々はお互いに確認し合いながら、ゆっくりと頷きます。
ここでついに、佐藤さんがグランプリに決定しました!

拍手が沸き起こる中、佐藤さんがマイクの前に立ちます。そして、「ありがとうございました。今までたくさん悩んで、ここまで来て、こうしてグランプリに選ばれたのは、周りで支えてくれたたくさんの人たちのおかげです。」と、ゆっくり力強い言葉でよろこびの言葉を語りました。また、菅沼からは「グランプリになれなかったその他の5人も、ここまで来たことがすごいことです。みなさん、拍手を!」という言葉が。ふたたび、会場内が大きな拍手で包まれます。こうして、興奮が冷めやらぬまま、第14回写真「1_WALL」の公開最終審査会が幕を閉じました。

佐藤麻優子さんの個展は、約1年後にガーディアン・ガーデンで開催される予定です。みなさん、どうぞお楽しみに!

出品者インタビュー

稲川有紀さん
一線で活躍されている審査員の方たちが、時には厳しく、時には丁寧に作品について指摘をしてくださったので、とても勉強になった審査会でした。いろいろな意見を言ってもらえたことで、今後大きく成長できるような気がします。これからも、写真と向き合って頑張っていきたいです。

林大鉉さん
今回の「1_WALL」に応募しようと思ったのは、審査員の方が魅力的な方ばかりだったから。こうして目の前で、作品の評価や意見を言ってもらえて、次に目指すものが見えたような気がします。僕にとって、写真はいつでも刺激的です。今後も、作品をつくり続けていくしかないと思っています。

小野峰靖さん
僕にとって、今回の作品は100点満点。今持っている力を、出し切ることができたと思います。でも、撮り尽くしたと思っていたアパートという被写体を、もっと撮り続けていってもいいのではと言ってもらえた時は驚きだったし、新たな発見でした。また100%の力を出し切る作品ができたら、「1_WALL」にチャレンジしたいです。

佐藤麻優子さん グランプリ決定!
たくさんの人に助けられてきたので、その一人ひとりにお礼を言いたいです。また、今回の審査会で自分に足りない部分を指摘してもらえたことがすごくよかった。個展に向けて、これから頑張りたいです。それから、私のように自分ではだめだと思っていたり、自信がなかったりしても、作品のよさをわかってくれる人はいるかもしれないので、「1_WALL」に応募しようか迷っている人は、一度チャレンジしてみてほしいですね。

馬込将充さん
一、二回目に応募した時は、一次審査通過。三回目の時は、審査員奨励賞。そして、今回初めてファイナリストに選んでいただきました。「1_WALL」のおもしろさは、誰にも結果が予想できないところだと思います。誰がグランプリになってもおかしくないし、誰がグランプリになってもいいように、一人ひとりの可能性を見つけてくれる。これからも、よりたくさんの人に作品を見てもらいたいし、次も「1_WALL」にチャレンジしたいです。

光岡幸一さん
前回もファイナリストに選んでいただきましたが、今回はその時よりも納得できる作品を展示することができました。それを成長ではなく、拡張といった言葉や、脱皮かもしれないと言ってもらえた時は、自分も成長とは違うなと感じていたので、言い当てられた気分でした。これからも、どんどん写真を撮り続けていきたい。